虚言癖とは「どうしても嘘をついてしまう人間の性質」をあらわす言葉です。
「平気で嘘をついてしまう自分を変えたい」「周りから虚言癖があると言われるが、どうしたらいいか分からない」「虚言癖って治せるの?」と悩んでいる人もいるかもしれません。なかなか周りに相談しにくい悩みですよね……
今回は、虚言癖で悩んでいる人に向けて対処法を紹介します。
「虚言癖についてもっと詳しく知りたい」という人は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
虚言癖は「治したい」という気持ちがあれば治療可能
結論、虚言癖を治すことは可能です。ただし、虚言癖を抱える人自身が「治したい」という気持ちをもっている必要があります。周囲の人がどれだけ「虚言癖を治してあげたい」と思っていても治すのは難しいのです。
虚言癖は自分自身の問題であり、いくら他人を責めても改善は望めません。治療の過程でこれまでの自分と向き合うことも必要になるでしょう。これは大変苦しい作業で本人に「治したい」という思いがなければ、治療者と良い関係も築けず、途中で治療を投げ出してしまう可能性が高くなります。
また、虚言癖は長年の経験が積み重なった状態のため、回復には時間がかかります。
治療前に「なぜ虚言癖を治したいのか」「虚言癖を治してどのような生活を送りたいのか」といった目的を明確にしておくことで、最後まで諦めずに治療に取り組めるでしょう。その結果「職場で信頼されたい」「安心できる人間関係を築きたい」といった自分の望む生活に近づくことができるのです。
虚言癖の対処法~セルフケア編~
自分のことを虚言癖であるという自覚があっても他の人に相談するのは難しいです。
「誰にも相談できない」「どうすれば治るのか分からない」という不安な気持ちを持ち続けて、苦しい思いをしているかもしれませんね。ここでは「一人でもできる虚言癖への対処法」を紹介します。
(1)嘘をつく原因を探る
まずは、なぜ嘘をついてしまうのか原因を探ってみましょう。
「優しくされたいときに嘘をついてしまう」
「凄い人だと思われたくて見栄を張ってしまう」
のように書き出してみると嘘をつくきっかけや原因、パターンが見えてくるはずです。
嘘をつく原因が分かればその状況を回避するなどの行動が取れるため、嘘をつきたくなっても徐々に気持ちを抑えることができるようになります。
(2)嘘で傷つく人がいることを知る
周囲への共感力が低いことも、虚言癖がある人の特徴です。
「嘘をついた時に周りがどれほど傷つくか」ということを想像することが難しく、平気で人を傷つけてしまいます。だからこそ、嘘をついた時に相手がどのような気持ちになるのか想像することが大切なのです。
(3)嘘はいつかバレると自覚する
自分ではバレていないと思っていた嘘でも、実は周りの人は嘘だと気づいていることも少なくありません。注目を集めるため、承認欲求を満たすためについた嘘が原因となり、周囲からの信用を失うはめになるかもしれません。その悪循環に気がつければ、徐々に嘘をつくことへの怖さを感じ、嘘をつかなくなる効果が期待できます。
(4)心に余裕を持ち、衝動性をおさえる
心に余裕がなく「周囲の期待に応えたい」「周りに比べ劣っている気がする」と焦っているときには、自分を大きく見せるための嘘をつきやすくなります。自分に自信を持ち心を満たすことができれば、嘘をつかなくても自分らしく振舞えるでしょう。
(5)道徳的な刺激を増やす
虚言癖がある方には、育った家庭環境の問題から道徳観を養われなかったケースも多く見られます。映画や読書、スポーツといったさまざまな経験を通して道徳的な刺激を増やせるとよいですね。
虚言癖で生きづらさを感じているなら病院受診【何科を受診すべき?】
「虚言癖が原因で生きづらさを感じている」「自分ではどうしていいのか分からない」と八方ふさがりになっているなら、病院受診も視野に入れましょう。
同じ嘘をつく行為でも、精神疾患に起因するものもあれば、認知症から来るものの可能性も考えられます。きちんと診断して、正しい治療を受けるためにもまずは病院を受診してくださいね。
精神科・心療内科を受診しよう
病院受診をする際は、精神科や心療内科を受診しましょう。虚言癖で悩んでいる人は何らかの精神疾患を抱えている場合が多いからです。治療内容によっては、カウンセリングなども必要となります。
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虚言癖を放っておくと起こること
ひとことで虚言癖と言っても、嘘のつき方のタイプにはさまざまなものがあります。ただ、共通して言えるのは、小さな嘘でもつき続けると、周囲の信用を失くしてしまうことです。職場で孤立して信用を得られず職を転々としたり、大切な友人と疎遠になったりという可能性もあります。
すでに周りの人が離れていくような実感があって悩んでいるのであれば、その苦しみを少しでも軽くできるよう一度専門医に相談してみてくださいね。
虚言癖の対処法~治療編~
続けて専門の医療機関で行う治療について説明します。虚言癖を一人で治すのは難しいので、専門家の力を借りることも1つの手段です。
カウンセリングを受ける
自分ひとりでは嘘をついてしまう原因を探るのが難しい場合もあります。そんなときにはカウンセリングを受けてみるのもひとつの方法です。思ってもいない角度から自分のことを見つめ直す良い機会になるでしょう。ただし、カウンセリングではカウンセラーを信用して話をすることが大切です。「絶対虚言癖を治したい」という強い気持ちをもって臨むことで、より効果が高まります。
パーソナリティ障害の治療
虚言癖の原因となるパーソナリティ障害の治療として、精神療法が用いられることもあります。パーソナリティ障害のタイプによって、それぞれ適した精神療法が使われます。
(1)認知療法・認知行動療法
反社会性パーソナリティ障害や妄想性パーソナリティ障害の治療に使われます。
ここでの認知とは「現実の受け取り方」や「ものの見方」のことです。認知に働きかけて、心のストレスを軽くしていく方法を認知療法・認知行動療法といいます。ただし、反社会性パーソナリティ障害の人の中には積極的な治療を望まない方もいるため注意が必要です。
(2)支持的精神療法
演技性パーソナリティ障害の治療に使用し、感情を調節する力を身につけます。
患者自身が自分を理解し、より芝居がかった形ではないやり方で他者とコミュニケーションを取れるように導く精神療法です。その過程で他者の注目を集め、自分の自尊心を保つ上で演技的な行動がどれほど不適切であるか患者自身が理解できるよう支援します。
ただし、患者は問題なく生活できるかのように振舞う傾向があるため、治療が難しい場合もあります。
まとめ
虚言癖自体は病気ではありませんが、放っておくと社会生活にさまざまな問題を起こしてしまうでしょう。ご自身に「治したい」という意志があれば、虚言癖を治すこと可能です。まずは記事の中でも紹介したセルフケアの方法を参考にして、嘘をついてしまう原因を探っていきましょう。
また、自分のついた嘘がきっかけとなり、すでにつらい思いをしたり大変な状況になっているのであれば、早めに医療機関のサポートを受けることも考えてみてください。
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参考
うつ病の認知療法・認知行動療法(患者さんのための資料)厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」