思春期のうつ病は回復する?3つの原因と治し方&メンタルセルフケア







「気持ちが落ち込んで学校に行けない」
「1日中ベッドで過ごしてしまう」

このようなお悩みはありませんか?もしつらい状況が続いているなら、それはうつ病かもしれません。

うつ病とは「気分の落ち込みや何をしても楽しくない状態」が続く心の病気です。このままの状態が続けば、学校生活だけではなく将来の進学や就職に悪影響があるのではないかと不安になりますよね。

心の不調は、早めの治療が大切。この記事では思春期のうつ病の原因治療法を解説します。メンタルを整え、回復に向かうことで充実した学生生活を送りましょう。

思春期のうつ病は回復する

自分はうつ病かもしれないと思うと、とても不安ですよね。

うつ病と聞くと、「もう治らないのではないか」「進学や就職は難しいのではないか」と将来に絶望する人もいるかもしれません。

しかし、うつ病は誰もがかかる可能性のあるありふれた病気です。日本人の約15人に1人がかかるというデータもあります。[1]

また、思春期は心も体も変化しているためただでさえ気持ちの浮き沈みが起こりやすい時期。周囲のサポートを受けながら、しっかりと治療することで乗り越えることができるので安心してください

こころちゃん
こころちゃん

ゆっくり回復を目指していきましょうね。

思春期のうつ病の特徴

思春期は小学校高学年から高校生年代の時期にあたります。[2]ここからは、思春期のうつ病の特徴を解説します。

症状が大人と異なる

思春期のうつ病は、症状が大人と異なります。

以下がその特徴です。[2][3]

・心より体の不調に出やすい
・気持ちの落ち込みは「イライラ」として出る
・ひきこもりやリストカットなどの問題行動が多い

食欲や睡眠だけではなく、体のだるさや頭痛といった症状が多くみられます。

他の精神疾患との合併が多い

思春期のうつ病は、他の精神疾患との合併が多いことが報告されています。[3]

たとえば、不安障害注意欠陥多動性障害(ADHD)摂食障害などです。これらの疾患が原因となり、うつ病になることがあるのです。

精神疾患が合併することで、診断の遅れや治療が複雑になることがあります。

抗うつ薬が効きづらい

大人のうつ病治療では、抗うつ薬の内服が一般的です。

一方、思春期の若者には抗うつ薬が効きづらいことがあります。

さらに効きづらいだけではなく、あせる気持ちや死にたい気持ちを高めてしまう可能性も指摘されていて、慎重な服用が必要です。

思春期のうつ病の原因

思春期は心と体が変化している時期。その変化が原因でうつ病になることがあります。以下の3つの原因について解説します。

ホルモンバランスの乱れ

思春期は性ホルモンの分泌が急激に活発になり、体が子どもから大人へと成長する時期です。

成長途中はホルモンバランスが崩れやすく、心を安定させる作用のある「セロトニン」がうまく働かないことがあります。その結果、ささいなことでも不安になったり攻撃的になったりすることがあるのです。[4]

心が揺れやすい

思春期は感情が不安定になりやすいという特徴があります。

「親から自立したい欲求」と「親元から離れる不安」を同時に感じ、心が揺れ動きます。その不安に対応するために、友達との絆を強く求めるのです。

それが思春期に友人関係が大きなウエイトを占める要因といわれています。[2]

友人関係のトラブルは心の発達に重大な影響を及ぼし、ときに不登校やうつ病の原因になり得ます。

環境の変化が大きい

進学や友人関係の変化など、環境の変化が大きいことも思春期のうつ病の原因となります。

小学校から中学校、そして高校への進学は、友人関係のみならず先生や通学方法など、さまざまな変化をもたらします。

また、家庭環境であれば「両親の離婚や再婚」「身近な人の死」などをきっかけに、うつ状態になることも。

さらに「自然災害」「事故に遭遇する」「パンデミック(世界的な感染症の大流行)」などもうつ病の原因となることがあります。

環境の変化によるストレスが積み重なり、心の健康に悪影響を及ぼすことがあるのです。

思春期のうつ病の治療

思春期のうつ病の治療について、以下の3つの項目を解説します。

環境調整

まず、できる限りストレスの原因を取り除くことが重要です。

うつ病の原因が、いじめや学業不振など学校に関するものであれば学校と連携して休養を含めた対策を行います。

家庭に関するものであれば家族も一緒にケアできるよう、本人を取り巻く家庭環境を改善していきます。

学校や家庭と連携し、ストレスの原因となる環境を変えていくことが治療の一環となるのです。

精神療法

支持的精神療法や認知行動療法などの精神療法も効果的です。[5]

支持的精神療法:苦しいことに共感を示し、気持ちを支える
認知行動療法:ストレスなどで固まって狭くなってしまった考えや行動を変える

専門のカウンセラーと話しながら、少しずつ回復を目指します。

認知行動療法については、こちらの記事で詳しく説明しています。

薬物療法

医師の診断に基づき、必要に応じて抗うつ薬が処方されることがあります。

ただし、思春期のうつ病には抗うつ薬が効きづらいという特徴があるため、注意が必要です。

おおかみこころのクリニックでは、治療について相談しやすい体制を整えています。ぜひ一度クリニックにご相談ください。

うつ病かなと思ったときの大人への伝え方

「自分はうつ病かもしれない」と思ったら、勇気を出して周りの大人へ打ち明けてみましょう。[1]

伝えるときは以下のポイントを押さえると、少しは話しやすいかもしれません。

  • 自分の気持ちを整理する
  • 話しやすい話題から入る
  • 話したいことだけ話す

まずは何を話すかを整理しましょう。頭の中で考えるより、紙に書き出してみるとより整理しやすいのでおすすめです。

話す際は、いきなり本題に入るのではなく「昨日見たテレビの話」「好きな有名人の話」など、話しやすい話題から入るとよいでしょう。

また、話したくないことは話さなくてよいと覚えておいてください。「全部話さなくてはいけない」と思うと身構えてしまいます。話したいことだけで大丈夫です。

こころちゃん
こころちゃん

勇気を出して相談してみましょう。

自分でできる対策=セルフケアの方法

うつ病の対策をしても、日常生活でストレスがゼロになることはありません。そのため、ストレスが溜まったらその都度リフレッシュする必要があります。自分の心を癒すスキルを身に付けておくと、今後の人生において役に立ちますよ。

ストレスに気づく

まずは自分がストレスを受けていることに気づく必要があります。

ストレスを受け続けると、以下のような症状が多くみられます。[6]

・眠れない
・お腹が痛くなる
・怒りっぽくなる
・食欲がなくなる
・やる気がなくなる など

自分のストレスに気づけるようになると、適切に休むことができます。

ストレスに気づくことは、ストレス対策の第一歩です。

ストレス解消法を見つける

ストレスが溜まっていることに気づいたら、早めに対処できるとよいでしょう。

「今日は疲れた」「嫌なことがあった」というときは、お気に入りのリフレッシュ方法でストレス解消を目指します。

たとえば以下のようなストレス解消法があるので、参考にしてください。[7]

・深呼吸をする
・好きな音楽を聴く
・ストレッチをする
・ゆっくりお風呂に入る
・ぼんやりと窓の外を眺める

色々と試してみてくださいね。

「助けて」を言う

心が疲れてしまったとき、ひとりで悩まずに「助けて」と言うことは非常に大切です。

周囲の大人や信頼できる人に相談することで、適切なサポートを受けることができます。助けを求める人は、親や学校の先生だけでなくても大丈夫。友達や習い事の先生、地域の人など、信頼できる人ならOKです。

また、身近な人に相談しづらいときは公的な機関に相談してもよいでしょう。

以下が公的な相談先の例です。[8]

・地域の精神保健福祉センター
・地域の保健所や保健センター
・地域の教育センター

公的機関の相談はどれも無料で、秘密は守られます。

勇気を出して声を上げることが、回復への第一歩です。

まとめ

思春期は心と体、そして環境の変化が多いために不安になることが多い時期です。

周りのサポートを受けながら、焦らずゆっくり治療に取り組むことで、うつ病は回復に向かいます。

またセルフケアを身に付けておくと、今後の人生においても役立ちます。この記事で紹介したリフレッシュ方法をぜひ実践してみてください。

ひとりで悩まず、信頼できる人に早めに相談し、心の健康を取り戻しましょう。

参考文献・サイト

[1]うつ病|こころの病気について知る|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html

[2]思春期のこころの発達と問題行動の理解 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-002.html

[3]<論文>児童・思春期におけるうつ病と自殺行動,清田晃生,精神保健研究通巻52号_33-39
https://www.ncnp.go.jp/mental-health/docs/nimh52_33-39.pdf

[4]子どものメンタルヘルスの現状とEBPM|内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_seisaku_suishin/ebpm_meeting/siryou2.pdf

[5]思春期のこころの病|社会福祉法人NHK厚生文化事業団
https://www.npwo.or.jp/wp-content/uploads/2016/09/shishyunki.pdf

[6]ストレスのサイン|ストレスとうまくつきあう|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/kokoro/kokoro_03.html

[7]ストレスとセルフケア|こころの情報サイト|国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所
https://kokoro.ncnp.go.jp/health_howtocare.php#02

[8]こころの相談の窓口について|困ったときの相談先|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/consultation/window/index.html

この記事の編集者
宮川 しおり
メンタル心理カウンセラー・看護師・養護教諭。公立病院や学校での勤務経験あり。現在は医療・健康分野のフリーライターとして活動中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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