「なんだか今までと違う気がする」
「最近、元気がない日が多くない?」
うつ病は、本人ではなく家族が気づいて受診し診断されるケースが多くあります。[1]
身近な家族だからこそ、ちょっとした変化に気づけるのです。
ところが、はじめてのことで「なんて声をかけたらいいのか」「どうやって受診をすすめたらよいのかな」など、悩むことが多いでしょう。
今回は、うつ病の人がとる行動と家族がうつ病かもしれないときのチェックリスト、今後のかかわり方について具体的に紹介していきます。また、最後にはうつ病と診断されたら今後の仕事はどうなるのかについても紹介しますので参考にしてくださいね。
うつ病の人がとる行動7選
「家族がうつ病かもしれない」と気づいたら、まず下記のうつ病の人がとる行動7つがみられるか考えてみましょう。
身近で生活している家族が感じる違和感は、正しいことが多いです。
当てはまることが多かったら、一度メンタルクリニックに相談してみましょう。
あなたの勘違いで済めばそれでいいのです。もし、うつ病だったときは「早く気づけてよかった」と思えば大丈夫。早期治療は、うつ病の回復にも影響します。
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1.寝すぎる・眠れない
うつ病の方の77〜90%に睡眠障害が生じるという調査報告があります。[2]
睡眠障害とは「眠れていない」だけではありません。下記のような状況も睡眠障害に分類されます。
- なかなか眠れない
- 夜中に目が覚めてしまう
- 予定より早くに目が覚めてしまいその後眠れない
- たくさん寝てもスッキリしない
- 朝早くに目が覚める
- ずっと寝ている
このような症状が続くと、日常生活や仕事にも影響がでます。
仕事では「遅刻や欠勤が増える」「集中できずミスが増える」など、社会人としての信用が落ちるきっかけになることがあります。
スッキリ眠れないのはキツイですよね💦
睡眠環境を整えても改善しないときは、病院を受診してみましょう。症状がつらくなる前に専門家や薬に頼ることも大切です。
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2.元気がない
うつ病になると、何に対してもやる気が出なくなります。これを「意欲の減退」といいます。そのため、身だしなみを気にしなくなったり、仕事をサボりがちになったりするでしょう。
うつ病は「セロトニン」や「ノルアドレナリン」が減ってしまう病気だと考えられています。[3]
この2つは、こころを安定させたりやる気を起こす働きをするため「元気がない」「無気力で憂うつ」といった状態になるのです。
元気がでないときは無理に元気なフリをする必要はありません。こころが疲れているから休憩しているんだと考えるようにしましょう。
3.食欲がなくなる・食べ過ぎてしまう
うつ病では食欲の変化がみられることが多いです。意欲の減退の影響で、食欲がわかなくなります。
食欲がわかないけど、何か食べないと…と無理に食べる方もいますが「美味しく感じない」「やはり食べたくない」と感じるでしょう。[4]
食事がとれないと、体重が減り体調を崩すことも増えます。食事からエネルギーがとれないので疲れやすくもなるでしょう。
一方で、うつ病で食欲が低下することもあれば、非定型うつ病では過食になることもあります。詳しくは下記の記事をご覧ください。
4.お風呂に入るのをめんどくさがる
うつ病になると、お風呂に入るのが憂うつになることがあります。
「今日はいいや……」「あとで入る」と言って、結局お風呂に入らないまま寝落ち。このような日々が続いているのも、もしかしたらうつ病の影響かもしれません。
疲れてるとき、お風呂に入るのめんどうになるのと同じかなぁ…
お風呂に入るためには、やることが多いため「めんどくさい」と感じるようになるのです。
入浴とうつ病の関係については、下記の記事で詳しく紹介しています。
5.人と話すのをさける
うつ病の症状で「考えがまとまらない」「頭の回転が鈍くなる」などがあります。[5]
そのため、人との会話をさけたり口数が減ったりするでしょう。症状により、頭がボーッとして人と話すのが憂うつになるのです。
人と話すには、話しの内容について理解し、何を話すのか考え、口を動かす必要があります。
いつもは、何気なくできていることが、うつ病の症状によって難しくなることがあるのです。
6.外に出たがらない
うつ病の身体に出る症状で、「全身が重い」「だるい」「頭痛がする」などがあります。[5]
健康な人も、体調が悪いときは外に出るのが億劫になるのと同じです。
全身が重だるい状態でやる気もわかなければ、自分から外に出ようとは思わないでしょう。その結果、家ですごすことが多くなるのです。 だからといって、無理に外出する必要はありません。
「外に出たくなったら出る」ぐらいに考えて、のんびり過ごしてみましょう。
一方で、日光に当たることが大切です。外に出なくても、室内で日光浴はできます。窓際でゆっくりすごしてみるなど、工夫をするとよいでしょう。
うつ病と日光の関係については、下記の記事をご覧ください。
7.イライラしている・落ち着きがない
「自分はこれからどうなっていくんだろう」
「家族に迷惑をかけ申し訳ない…」
このように思っていても、思い通りに動いてくれない身体。いろいろな葛藤が心の中で繰り広げられます。
それにより、イライラして家族にあたったり、ソワソワ落ち着かないことがあるでしょう。[5]
そんなときは、家族に相談しにくければ専門家に相談するなど、誰かに話して気持ちを整理することも大切です。おおかみこころのクリニックは電話診療も行っています。
まずは、お気軽にご相談ください。
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家族がうつ病かもしれないときのチェックリスト
下記は、厚生労働省が出している「家族がなんだかいつもと違う」と思った時のチェックリストです。症状が10日から2週間以上続いたら、こころが疲れているのかもしれません。一度チェックしてみるのもよいでしょう。
働く人の疲労蓄積度セルフチェック(家族支援用)|厚生労働省こころの耳
ただし、チェックリストはこころの不調を診断するものではありません。
あくまで参考程度にして、気になる症状があるならば早めに病院を受診しましょう。
先生やさしいから、気軽に相談して大丈夫ですよ!
うつ病の人がとる行動が家族に見られるときの対処法
ここでは、家族がうつ病かもしれないと気づいたときの、かかわり方について解説していきます。
気の持ちようでどうにかなるものではないことを理解する
うつ病は『気の持ちようではどうにもならない』ということを理解しなければいけません。身近な家族だからこそ、時にはイライラしてしまうこともあるでしょう。[6]
ですが、ゴロゴロだらだらしているように見えても、それは「うつ病の症状がそうさせているんだ」と考えることが大切です。
また、無理に励まして元気になるわけでもありません。
逆に「何もできなくてごめんね」「こんな役に立たないなんて、いなくなった方がいいのかも」と悲観的に捉えられてしまい、最悪のケースでは自殺を考えるきっかけになることもあります。
じゃあ家族はどうしたらいいの?
そう思うよね。次で詳しく説明していくね!
本人の心休まる生活をしてもらう
うつ病になった家族が安心できる環境を整えることが大切です。
ただし、気を遣いすぎて今までの日常生活を崩すのは、よくありません。
本人が今までの家庭生活に安心していたならば、家族が今までの生活を送ることが「安心できる環境を提供できている」ということになります。
思い切って本人に「家族にどう過ごしていてほしい?」と聞いてみるのもよいでしょう。
病院受診をすすめる
「もしかして、うつ病かも?」と思ったら、早めに病院受診をした方がよいでしょう。
家で休んでいて解決したらよいのですが、早めに専門家を頼ることで症状が深く複雑になる前に治療をはじめられるからです。早期発見早期治療は心の病気も同じです。
もし、ご家族が受診を嫌がったら「家族がうつ病かもしれないんです。けど、受診を嫌がっています。どうしたらよいでしょう」と、受診してみようと思っている病院に電話で相談してみるのもよいでしょう。
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受診を考えていても、うつ病の症状が午後になると調子がよくなることがあります。
「あれ?さっきの当てはまる行動が夕方には治っている。やっぱり違うのかな?」と思っても、それには理由があります。詳しくは下記の記事をご覧ください。
うつ病と診断されたら今後の仕事はどうなる
ここでは今後の仕事はどうなるのか、下記の2パターンを紹介します。
うつ病と診断されても、必ず仕事を休まないといけない訳ではありません。
症状や原因、生活環境はひとり一人ちがいます。そのため、まずは受診をして、最善の解決策を専門家とともに考えることが大切です。
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仕事を続けながら治療はできる
うつ病の原因が職場にあるなら、職場が話を聞いてくれるのかがポイントになります。
今の部署でストレスを感じているならば、部署を変えてもらうなどの環境調整が大切です。
うつ病と診断されても働き続けることはできます。詳しくは下記の記事をご覧ください。
また、職場にうつ病のことを話すと、診断書の提出を求められることが多いです。
診断書は精神科や心療内科を受診し、医師に診断書がほしいと伝え、医師が必要と認めた場合に発行されます。うつ病の診断書について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
仕事を休職・退職したときの公的支援
うつ病と診断されたら、仕事を休職や退職をしてゆっくり過ごすことも大切です。
ですが、休職や退職には金銭的な不安がつきものです。
「仕事を休んだらどうなるんだろう」「今後の生活は?」と思ったら、仕事を辞める前に下記の記事でチェックすべきことを確認しましょう。
また、どのような公的支援があるのかを知っておくことも大切です。
あなたに必要な支援を、職場や役所が積極的に紹介してくれるケースはほとんどありません。あなたから「こんな支援使えませんか?」「こんな状況なのですが、何か使える支援ありませんか?」と相談すると教えてくれるケースが多いです。
だからこそ、相談するために使える公的支援を少しでも知っておくことが大切になります。
下記の記事では、うつ病で仕事を休んだときの公的支援について詳しく紹介しています。
使える公的支援がないか探す参考にしてください。
うつ病の人がとる行動|まとめ
「もしかしたら家族がうつ病かもしれない」と思ったら、うつ病について正しい情報を知ることが大切です。
多くの不安がありますが、まずは家族が心休まる環境を整えましょう。また、今後の仕事や生活についても、事前に知っておくことで安心できることは増えます。落ち着いて、どこから関わっていけばよいのかを考えましょう。
ひとりで抱え込まずに、専門家をたよってください。おおかみこころのクリニックは、患者様のご家族のサポートも行っております。家族のことで悩んだら、まずはお気軽にご相談ください。
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参考文献・参考図書
[1]家族にできること|厚生労働省こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/families/
[2]気分障害に併存する睡眠障害|国立精神・神経医療研究センターNCNP病院
https://www.ncnp.go.jp/hospital/guide/sleep-column13.html
[3]うつ病|こころもメンテしよう
https://www.mhlw.go.jp/mobile/m/kokoro/kokoro/youth/mobile/stress/know01.xhtml
[4]体の不調はうつ病でも現れます。かかりつけ医へ相談してみましょう|e-ヘルスネット
[5]精神疾患の理解と精神科作業療法|朝田隆、中島直、堀田英樹 中央法規出版株式会社
[6]【第39号】「家族が『うつ』になったら・・・~あせらず見守るために大切なこと~」医療法人 渡辺クリニック院長 渡辺 洋一郎|大阪市
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000253998.html
- この記事の執筆者
- 柚木ハル
作業療法士。精神科16年の臨床経験を生かして執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。