酒鬱を治す方法ってある?今日からできる生活の工夫と向き合い方










「お酒を飲んだ翌朝の気分が憂うつでつらい」

「漠然とした不安に襲われてしまう」

飲酒後の気分の落ち込みや不安感に悩まされていませんか?

このような症状は「酒鬱」と呼ばれ、生活の工夫でやわらげることもできます。

この記事では、酒鬱を治すために意識したい生活の工夫と、くり返さないための向き合い方を紹介します。

「もうお酒に振り回されたくない」「こころ穏やかな生活にしたい」と思っている方は参考にしてください。

酒鬱を治す方法として今日から意識したい生活の工夫

まずは、今日から意識したい生活の工夫を紹介します。

それぞれ具体的に説明します。

酒鬱がひどくて悩んでいるときは、下記の記事もあわせてご覧ください。

水分補給をする

酒鬱の症状がひどいと感じたら、まず水分補給を心がけましょう。

アルコールには利尿作用があり、水分と一緒にナトリウムやカリウムなどのミネラルも失われるため、意識的に水分補給をしてください。[1]

脱水状態が続くと、頭痛や倦怠感、気分の落ち込みがさらにひどくなってしまいます。

具体的には以下のような方法があります。

  • 常温の水や経口補水液をこまめに飲む
  • 味噌汁やスープでミネラルと塩分を補給する
  • フルーツや野菜ジュースで糖質とビタミンを補う

カフェインを含む飲み物は利尿作用があり、さらに脱水につながるため避けてください。

また、飲酒中にも水分補給を意識することが大切です。[2]

お酒を一杯飲んだら水を一杯飲むような習慣をつけると飲酒量も自然に減り、翌日の酒鬱症状がやわらぐでしょう。

呼吸をととのえる

不安や緊張が強くなると、運動しているわけでもないのに呼吸が荒くなります。

そのようなときは意識的にゆっくりとした呼吸をすると副交感神経が優位になり、リラックスできるでしょう。

具体的な呼吸方法は以下のとおりです。[3]

  1. 3秒数えながらゆっくりと口から息を吐き出す
  2. 同じように3秒かけて鼻らから息を吸い込む
  3. 5~10分程度繰り返す

朝起きたときや不安が強いときに実践すると、気持ちが落ち着きやすくなります。

睡眠の質を上げる

酒鬱を治すためには、睡眠の質を上げることが大切です。

寝酒の習慣を持っている人も多くいますが、寝る前のお酒は睡眠の質を低下させます。

寝酒は寝つきをよくしますが、深い睡眠が得られず夜中に何度も目が覚めたり、早朝に目覚めてしまったりする原因になります。[4]

質の悪い睡眠は、翌日の気分や精神状態にかかわるため、お酒に頼らない睡眠習慣を身につけましょう。

お酒を使わずに眠れる工夫には、以下のものがあります。[4][5]

  • 日中に適度な運動をする
  • 温かいノンカフェイン飲料を飲む
  • 就寝2時間前から照明を暗めにする
  • 就寝1~2時間前に10~15分ほど入浴する
  • ブルーライト(スマホ、PC、テレビ)を避ける

あなたに合った方法を見つけていきましょう。

こころちゃん
こころちゃん

寝具をあなたに合ったものにするのもよいでしょう

気持ちをリラックスさせる

気分が落ち込んでいるときは、リラックスする時間を意識的に作ってください。

たとえば、以下のような方法があります。

  • 好きな音楽を聴く
  • お気に入りの映画を観る
  • アロマを使って癒される

ムリに明るい曲を聴く必要はないので、あなたが心地よいと感じる音楽を選びましょう。

また、 ラベンダー・カモミール・柑橘類などの香りは気分をリラックスさせたり不安をやわらげたりします。

他にも、ペットとのふれあいや読書など、あなたなりのリラックス方法を見つけることが大切です。

SNS・ニュースから距離を置く

酒鬱の症状があるときは、ネガティブな情報を発するSNSやニュースから距離を置きましょう。

精神的に不安定なときにSNSやニュースを見ると、ネガティブな情報に反応して、さらに気分が落ち込んでしまうかもしれません。

とくに以下のような状況では、意識的に情報から距離を置いてください。

  • 不安を煽るようなニュース
  • 議論や対立が激しいコメント欄
  • 他人と自分を比較してしまうSNS投稿

スマートフォンの通知をオフにしたり、ニュースを見る時間を減らしたりして、情報との付き合い方を見直してみましょう。

不安になるものを見ない時間を作ることで、こころの回復が早まります。

酒鬱をくり返さないための向き合い方

酒鬱をくり返さないために、以下のようにお酒と向き合いましょう。

具体的な方法を説明します。

飲む量を正確に把握する

酒鬱を治すために、まずはあなたがどれくらいお酒を飲んでいるのか正確に把握しましょう。

スマートフォンのメモ機能や、飲酒管理アプリ、飲酒チェックツール(アルコールウォッチ)を活用すると便利です。[2]

具体的には、以下の点をメモするとよいでしょう。

  • 日付
  • 時間
  • 種類と量
  • 飲酒のきっかけ
  • 飲酒後の気分や体調

飲酒の記録を続けていくうちに、あなたの飲酒パターンがわかってきます。

「仕事でストレスがあった日は飲む量が増える」「ひとりで飲むと止まらなくなる」など、問題のパターンに気づけます。

飲み始める前に「今日はビール2缶まで」「日本酒1合まで」と具体的に上限を決めておくのもよいでしょう。その日飲む量だけのお酒を冷やしておき、それ以上は用意しないようにすると飲みすぎを防ぐきっかけになります。

周りの人に協力してもらう

酒鬱を治すために、あなたひとりだけでがんばる必要はありません。家族や信頼できる友人に協力してもらいましょう。

「最近飲み過ぎていないか」「様子がおかしくないか」を、家族に見ていてもらうようお願いしてください。

あなた自身では気づかない変化を教えてくれるかもしれません。

また、お酒を減らそうとしているときに周囲から誘われると断りにくいものです。

「今お酒を控えている」「健康のために減酒している」と事前に伝えておくと、余計な誘惑を避けられます。

こころちゃん
こころちゃん

ひとりで頑張らずに協力を求めましょう

なぜ飲んでしまうのかを考える

酒鬱をくり返さないためには、「なぜ自分はお酒を飲んでしまうのか」を掘り下げて考えることが必要です。

飲酒のきっかけとして、以下のような具体例が考えられます。

  • 仕事や人間関係の悩みが増したとき
  • 孤独感やさみしさを紛らわしたいとき
  • 特定の場所(行きつけの店、リビングなど)に行ったとき

飲酒のきっかけが分かれば、その状況を避けたり別の対処法を用意したりできます。

飲酒に代わる行動を試してみる

「飲みたい」と思ったときに、お酒以外の選択肢を用意しておきましょう。

ノンアルコール飲料はお酒の風味を味わいながらも、アルコールの摂取量が抑えられるため減酒に有効です。[6]

他には、飲酒に代わる行動として以下のようなものを試してみてください。

  • ゆっくりお風呂に入る
  • ゲームや読書など趣味に没頭する
  • お菓子や果物、コーヒーなどを嗜む
  • 家族や友人と話したり電話したりする
  • ジョギングやストレッチなどの軽い運動をする

お酒以外の楽しみを探すことから始めましょう。

お酒にまつわる環境をととのえる

環境を変えることも、酒鬱を治すための有効な方法です。

  • お酒を捨てる
  • 目に入るところに置かない
  • 誘ってくれる人間関係を見直す

家にお酒のストックがあると、つい手が伸びてしまいます。

お酒を思い切って処分するか、見えない場所に片付けましょう。「わざわざ買いに行かないと飲めない」という状況にすると、衝動的な飲酒を防げます。

また、いつも飲酒してしまう相手がいるのであれば、人間関係を見直してもよいかもしれません。

ムリに付き合いを断つ必要はありませんが、会う頻度を減らしたりお酒を飲まない場所で会ったりするなどの工夫ができます。

酒鬱症状が続くときはうつ病やアルコール依存症の可能性も

酒鬱症状が続くときは、単なる酒鬱ではなくうつ病はアルコール依存症がかくれているかもしれません。

ここでは、酒鬱にまつわる以下3つの点を説明します。

それぞれの症状を理解して、早めにあなたの症状に合った対応をしましょう。

酒鬱とうつ病の違い

酒鬱とうつ病は、症状がよく似ているので見分けがつきにくいことがあります。

飲酒後だけに症状があらわれるときは酒鬱、飲酒の有無にかかわらず気分の落ち込みがあるときはうつ病の可能性がるでしょう。

ただし、酒鬱とうつ病の判別は難しく、一定期間の断酒をしないと分からないケースも多くみられます。

そのため、症状が続くときは自己判断せずに専門家を受診しましょう。

アルコール依存症の初期サイン

酒鬱が生じる頻度が増えると、アルコール依存症の初期段階に入っている可能性があります。

以下のサインに当てはまるものがないか確認してみてください。[7][8]

  • 周囲の忠告に反発する
  • 飲酒量が徐々に増えている
  • 一度飲み始めると止められない
  • お酒を飲まないと落ち着かない
  • 飲酒について嘘をついてしまう

これらは、アルコール摂取量のコントロールができない状態になっているため、精神科や心療内科で相談しましょう。

こころちゃん
こころちゃん

どこに相談したらいいか悩んだら、おおかみの先生に相談してみてください

受診すべきタイミング

以下のような状況に当てはまるときは、うつ病やアルコール依存症の可能性があります。[7][8][9] 

  • 飲酒を我慢できない
  • 2週間以上気分が晴れない
  • 日常生活に支障が出ている
  • 感情のコントロールができない
  • 手の震え、発汗、動悸など身体症状が出ている

うつ病やアルコール依存症は自力で治すことは難しいと言われています。

気になる症状があるときは早めに受診しましょう。

おおかみこころのクリニックでは、自宅から相談できるオンライン診療を実施しています。些細な悩みでも大丈夫です。お気軽にご相談ください。

当日予約・自宅で薬の受け取り可能

酒鬱を治す方法をひとりで抱え込まないために

精神科や心療内科では、酒鬱の背景にある問題を専門的に評価し、以下のような治療法を提案してくれます。

  • 薬物療法
  • 精神療法
  • カウンセリング

また、医療機関での治療と並行して断酒会のような自助グループに参加するのもよいでしょう。

日本各地にある断酒会は、アルコール問題を抱える本人とその家族が集まり、体験談を分かち合う場です。[10]

断酒会で、同じ悩みを持つ仲間と出会い支え合うことで断酒を続けやすくなります。

最近では、オンラインで参加できる自助グループも増えています。地方にお住まいの方や、対面での参加に抵抗がある方はオンラインを利用するのもひとつの手です。

同じ経験をした人たちと体験を共有することで、孤独感がやわらぎ回復への希望が持てるようになるでしょう。

まとめ

酒鬱を治すためには、段階的なアプローチが必要です。

まずは水分補給や睡眠時間を見直し、リラックス時間の確保など今日からできる対処法から始めていきましょう。

酒鬱をくり返さないためには飲酒量と原因を把握し、代わりとなる行動を試したり環境をととのえたりしてください。

時間はかかりますが、焦らずゆっくりと酒鬱をやわらげていきましょう。

酒鬱の症状が続くときや、自力でのコントロールが難しいと感じるときは、うつ病やアルコール依存症の可能性も考えられます。専門医への受診をためらわず早めに相談してください。

おおかみこころのクリニックでは、オンライン診療を実施しています。LINEやWEBで365日24時間、いつでも予約が可能です。

「このままで大丈夫なのか心配」「うつ病や依存症かもしれない」と少しでも不安に思ったらお気軽にご相談ください。

当日予約・自宅で薬の受け取り可能

【参考文献】
[1]二日酔いのメカニズム|健康日本21アクション支援システム 厚生労働省
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/alcohol/a-03-005

[2]健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38541.html

[3]腹式呼吸をくりかえす|こころもメンテしよう 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_03.html

[4]健康づくりのための睡眠ガイド2023|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf

[5]快眠と生活環境|健康日本21アクション支援システム 厚生労働省
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004

[6]ニュートン別冊「酒と人類」|ニュートンプレス
https://www.newtonpress.co.jp/separate/back_general/mook_250226_3.html

[7]全日本断酒連盟リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12205250-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kokoronokenkoushienshitsu/s_4_3_2.pdf?utm_source=chatgpt.com

[8]改訂新版 今すぐ始めるアルコール症治療|樋口 進

[9]うつ病の主な症状と原因|こころの耳 厚生労働省
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad002

[10]お酒は断酒会でやめられます|公益社団法人 全日本断酒連盟
https://www.dansyu-renmei.or.jp/index.html

この記事の執筆者
すみこ
作業療法士歴13年の経験を活かし、医療記事を中心に活動するWebライター。 読者の皆様のこころと身体の健康をサポートし、前向きな気持ちになれる文章を心がけています。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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