うつ病は、一生付き合っていかなければいけない病気なの?
いいえ。うつ病は適切に治療すれば、もとの元気な状態まで回復できるといわれているよ。
うつ病は、治療期間が長くなることもあり、一生付き合う病気だと思っている方も少なくありません。しかし、うつ病は適切な治療を受ければ治る病気です。
この記事では、うつ病が治るまでの期間や病気とうまく付き合う方法を解説します。
「いつ治るのか」という不安を解決し、うつ病と上手に付き合う方法を学びましょう。
うつ病は一生治らない病気ではない
うつ病は治る病気であり、もとの元気な状態まで回復できるといわれています。
ただし、回復までの過程には波があり、良くなったり悪くなったりをくり返します。[1]そのため、症状が良くなったと感じても、再発し「いつ治るのか」と不安な気持ちになることもあるでしょう。
うつ病との向き合い方を理解し、気分の波にうまく対処することが、回復へのカギとなるのです。
うつ病が治るまでの期間
うつ病の治療は「急性期」「回復期」「再発予防期」という3つの段階に分けられます。治るまでの期間には個人差があるため、いつ治ると明言はできません。
ただし、典型的なうつ病が治るまでの目安は、急性期が約1~3ヶ月、回復期が約4~6ヶ月、そして再発予防期は最低でも1年以上とされています。[1]
治療を早く開始し、軽症のうちに対処すれば、治るまでの期間は短くなるといわれています。[1]
うつ病が治ったと判断されるのは、日常生活で症状がほとんど感じられなくなったときです。この状態に戻ることが、治療の最終目標となります。
うつ病が長引く理由
うつ病が長引く理由はさまざまですが、症状の再発が原因のひとつといわれています。
とくに、症状を感じなくなり元気になったからといって、自己判断で薬の服用をやめてしまうと、再び症状が出現することがあるのです。[1]実際、うつ病の再発率は約60%ともいわれています。再発を繰り返すと、さらに再発率も高くなります。[2]
また十分な休養を取れていないことも、治療が長引く原因です。仕事や家事などのストレスの原因から離れられず、十分に休むことなく過ごしていても、うつ病はなかなか回復しません。
うつ病の治療の基本は「休養」「薬剤療法」「精神療法(カウンセリング)」です。[1]
休養ができる環境を整え、元気になったと感じても適切な治療を継続することが、うつ病の克服には欠かせないのです。
うつ病を経験した人の経験談
真面目な性格で、仕事をひとりで抱え込んでしまったことでストレスが強くなり、うつ病を発症しました。
発症から丸4年になります。うつ病と診断されましたが、最初は薬剤治療ですぐに症状が治まるため、1~2カ月休んで職場復帰しました。しかし、その後も無理をしたことで、再発と休職を繰り返し、現在は退職して治療に専念しています。今は症状が落ち着いていても波があり、明日は分からないという不安があるのは事実です。ただし、適切な治療を続けていけば、確実に症状は良くなると実感しています。
数年うつ病の治療をしてきて思うことは、十分な休養が大切だということです。焦らずに、回復を待つことも大事な薬だと思います。[3]
この経験談から、症状が良くなっても再発することがあり、年単位の治療が必要な場合もあることが分かります。そして、十分な休養と治療を継続することの重要性も示されています。
うつ病の治療は、焦らずに回復を待つことも治療のひとつといえるでしょう。
うつ病が治らないと感じたときのこころのケア
「うつ病が治らない…」と感じたら、うつ病の治療には時間がかかることを再認識しましょう。うつ病はすぐに回復する病気ではなく、時間をかけて回復していく病気です。主治医と相談しながら、根気よく治療を続けることが大切です。
また、日常生活の環境を整え、ストレスをためないことも治療のひとつです。趣味や適度な運動は、ストレスを軽減し、症状を和らげる効果があります。
規則正しい生活習慣を心がけ、からだとこころのバランスを保てるようにしましょう。[1]
そしてなによりも、不安や焦りを感じたときは、主治医に相談してください。必要に応じて、治療計画の見直しや薬剤の調整が必要な場合があります。[1]
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自分ひとりで抱え込まず、周囲のサポートを受けながら、うつ病とうまく付き合っていきましょう。
まとめ
うつ病は、適切な治療を受ければ治る病気です。ただし、治るまでの期間には個人差があり、長期間の治療が必要になることも珍しくありません。
一般的には、良くなったり、悪くなったりを繰り返して、もとの状態まで回復するといわれています。
治療過程で、薬を自己中断し再発してしまったり、十分に休養できていなかったりすると症状が長引く原因となります。
うつ病は症状の波がありますが、十分な休養と適切な治療により、徐々に回復していく病気です。周りのサポートを受けながら、根気強く治療を継続していくことが、うつ病とうまく付き合っていくコツといえるでしょう。
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参考文献
[1]3 うつ病の治療と予後|こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad003/
[2]地域におけるうつ病対策検討会「うつ対応マニュアルー保健医療従事者のためにー」(平成16年1月)「コラム・活動事例・資料編」「資料1:うつ病について」より|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0126-5g.html#s1
[3]うつ病当事者インタビュー ~うつ病と共に生きること~|北九州市いのちとこころの情報サイト
- この記事の執筆者
- 原田瑞季
臨床検査技師。保健学修士。在宅で医療検査の業務に関わりながら、フリーライターとして医療を中心に幅広いジャンルで執筆中。