「何をしても楽しくない」
「なんだか気分が滅入る……もしかしてうつ病?」
と不安になるときはありませんか?
メンタルの不調は誰にでも起こり得るものです。ですが、心や身体の状態がこれまでと違えば戸惑いますよね。
もしも「自分はうつっぽい」と感じたら、まずは落ち着いてセルフケアを実践してみましょう。心と身体を労わることが、つらい状態から抜け出すためのカギになります。
難しいことをする必要はありません。小さなケアを丁寧におこなうと、次第に楽になることもあります。
自分の内側からの声にしっかり耳を傾けて「どうしたいか」を素直に感じてみてください。
うつ病に自分で気づくきっかけについては、下記の記事も合せてご覧ください。
メンタルに不調をきたす人が増えている
近年、メンタル不調になる人が増えています。[4]
厚生労働省の調査によると、メンタル不調で1ヶ月以上休職した人がいる事業所は全体の10・6%です。前年と比べ、0.5%増加しています。[3]
また、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は63.4%で、前年より4.2%の増加しています。メンタル不調は決して珍しくありません。
具体的な症状について見ていきましょう。
うつ症状・こころ編
うつ症状としてよく知られているのは憂うつ感ですが、他にもさまざまなものがあります。
心に表れるうつ症状は以下の通りです。[7][8]
- 憂うつ感
- 集中力の低下
- 気分の落ち込み
- イライラ感の高まり
- 他人との関わりの減少
- ものごとへの意欲減退
うつ病になると「自分には価値がない」と感じ、自己肯定感が下がります。
記憶力や集中力が落ち、仕事上のミスも増えるケースもあります。
本来できるはずのことができなくなり、さらに「自分はダメなんだ」と落ち込むことがあるでしょう。
このような症状が出てきたら、ひとりで悩まずに身近な人やカウンセラーに話してみてください。
おおかみこころのクリニックの先生も気軽に相談に乗ってくれますよ♪
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うつ症状・からだ編
うつ病は心の症状が出やすいイメージですが、身体にも影響があります。[7][8]
以下は、身体に表れるうつ症状です。
- 体重が落ちる
- 食欲が低下する
- 頭痛・腹痛がある
- 表情が暗い・乏しい
- 眠れない・眠りが浅い
- ぼんやりする時間が増える
睡眠や食事が満足にとれず、疲労感が強くなる傾向があります。
心よりも身体の症状が強いと、うつ病だと気づきにくいでしょう。
うつっぽいときのチェックリスト
「最近うつっぽいな……」と感じたら、以下のポイントに当てはまるかチェックしてみてください。[1][2]
▢ 落ち着かない
▢ 肩こりがある
▢ イライラする
▢ 気が張りつめる
▢ 気分が晴れない
▢ 身体の痛みがある
▢ 何をするのも面倒に感じる
該当する項目があり、心配な人は医療機関に相談してみましょう。
うつっぽいときの過ごし方
「気分が晴れない」「身体がだるい」など、うつっぽいと感じたら、過ごし方を少し変えてみることをおすすめします。
以下のようなポイントを押さえ、無理のない範囲で取り入れてみてください。[5][6][9]
一気に全部やろうとせず、あなたのペースでやっていきましょう。
軽い運動をする
軽い運動は、うつ症状をやわらげる効果があります。ウォーキングやストレッチなど無理のない範囲で、身体を動かす習慣をつけるよう心がけてみてください。
適度な運動は気分を明るくする働きがあります。毎日少しずつ身体を動かすと気分転換になり、毎日を前向きに過ごせるようになるでしょう。
朝型に切り替える
朝型の規則正しい生活リズムは、体内時計を整え睡眠の質を向上させます。
毎朝決まった時間に起床し、朝日を浴びるとセロトニンの分泌が促進されます。セロトニンは心を穏やかにする効果があるホルモンです。
うつっぽいと感じたときは、朝型の生活に切り替えてみましょう。
もし今、仕事の関係で夜型の生活ならば無理に変えなくても大丈夫です。
1週間のタイムスケジュールを書き出して、起きる時間と寝る時間を決めるだけでも効果があります。
まずは客観的に、生活リズムを把握して見直すことが大切です。
しっかり休養する
十分な休養は、心と身体の回復に欠かせません。うつ病っぽいときは、自分のペースで行動し、休むことが大切です。
気持ちが落ち込んでいると「休むなんて甘えなのでは」と感じるかもしれませんが、そんなことはありません。
誰でも、身体が疲れれば休憩をとります。心も同じです。
疲れたら動くのをやめて、立ち止まってみてください。
ゆっくりと…自分と向き合うためにも休みましょう。
食事の質に気を配る
うつ病っぽいときは、食事の質を見直しましょう。栄養バランスの取れた食事はうつ病の予防や改善に効果的です。
うつ病はセロトニンの減少が関係しているため、食事でセロトニンを増やすよう意識することも必要です。
セロトニンの増加を助ける栄養素の一例を紹介します。
栄養素 | 食材 |
ミネラル | ヨーグルト・しじみ・海藻 |
トリプトファン | 卵・かずのこ・乳製品 |
ビタミンD | きのこ・乳製品 |
ビタミンB群 | レバー・納豆・ナッツ類 |
オメガ3系脂肪酸(EPA、DHA) | 青魚・脂肪の多い魚(マグロ・サバなど) |
これらを含む食材はたくさんあります。毎日いろいろな食材を食べることで栄養がとれるので、定食メニューを意識して食べてみてください。
「忙しくて食事を作る時間がない」というときは、ジャンクフードではなくサラダとおにぎりを選ぶだけでも大丈夫です。
以下の記事で、食事について詳しく解説しています。
飲酒や喫煙を減らす
お酒やタバコを減らすことも大切です。
アルコールやニコチンは、一時的にリラックス効果が得られます。ですが、依存症に発展する可能性があるため、過度の摂取は避けなければなりません。
お酒やタバコの回数を、少しずつ減らしていきましょう。身体への負担が減り、心がリラックスします。
好きなことを楽しむ
うつっぽいときこそ、好きなことを楽しむ時間をとりましょう。
趣味や興味のあることに時間を使うと、気分転換ができポジティブになれます。
うつ症状には意欲の低下があります。そのようなときは、無理に行動しなくても大丈夫です。
- ゆっくり本を読む
- 家で好きな映画の配信を楽しむ
- お取り寄せしたお菓子を食べる
こうした小さなことでも、心が休まったり満たされたりします。あなたの気持ちが安らぐことを見つけることが大切です。
身近な人に打ち明ける
うつっぽいと感じたら、ひとりで抱えず周りの人に話してみてください。[3][4]
厚生労働省の「令和4年 労働安全衛生調査 個人調査」では、ストレスを抱えている人に相談相手がいる割合が91.4%と非常に高い数値が出ています。その中で実際に相談した割合は69.4%です。
「自分の悩みなんて相談するほどでもないだろう」と考えるかもしれませんが、ひとりで悩んでも気持ちが落ち込むばかりです。心を許せる相手に、ありのままを打ち明けてみてください。
勤め先の産業医に相談してみるのもよいでしょう。専門家の視点でアドバイスがもらえることがあります。
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うつっぽさが改善しないときの対処法
うつっぽいからといって、本当にうつ病とは限りません。
別の病気が隠れている可能性もあります。下の表をご覧ください。[10][11][12][13]
原因 | 治療法 | |
---|---|---|
適応障害 | 特定の要因からくるストレス | 薬物療法 認知行動療法 ストレスケア |
不安障害 | 遺伝 ストレス 薬の使用 | 薬物療法 認知行動療法 |
統合失調症 | 原因は不明 | 薬物療法 運動療法 作業療法 社会生活技能訓練 |
双極性障害 | 原因は不明 | 薬物療法 集団療法 個人精神療法 |
アルコール依存症 | 長期間にわたる多量の飲酒 | 薬物療法 認知行動療法 動機づけ面接法 コーピングスキルトレーニング |
持続性抑うつ障害 | 遺伝 ストレス | 薬物療法 認知行動療法 対人関係療法 |
「うつ病だと思って受診したら、実は双極性障害だった」というケースもあります。[14]
もしうつ病と診断されたとしても、適切な治療で改善は可能です。
医師や家族、職場の理解と協力があれば少しずつ症状は治っていくでしょう。[15]
「なんで治らないんだろ?」と思ったら専門家に相談しましょう。
まとめ
うつっぽいときは、自分の心身がどんな状態かを把握することが大切です。
チェックリストを活用したり、周りの人に相談したりすると気持ちが落ち着いてきます。
また、生活習慣の見直しも有効です。早寝早起きや軽めの運動など、できそうなものから取り組んでみてください。
気分が晴れないときは、こうした行動に出るのも難しいかもしれません。それは当たり前のことです。
無理をする必要はありません。あなたの心が疲れないように過ごすことが大切です。
もし今の状態がつらいなら、心療内科や精神科に相談してみてください。あなたに合ったセルフケアの方法や治療法を教えてくれます。
ひとりで悩まず、少しずつ心を元気にしていきましょう。
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【参考文献】
[1]厚生労働省:こころの耳「5分でできる職場のストレスセルフチェック」
https://kokoro.mhlw.go.jp/check/
[2]厚生労働省:「簡易抑うつ症状尺度(QIDS -J)」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/02.pdf
[3]令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r03-46-50_gaikyo.pdf
[4]厚生労働省「令和4年 労働安全衛生調査」事業所調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r04-46-50_kekka-gaiyo01.pdf
[5]こころの耳「ご存知ですか?うつ病」
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/
[6]こころの情報サイト「ストレスとセルフケア」
https://kokoro.ncnp.go.jp/health_howtocare.php
[7]こころの情報サイト「うつ病」
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=9D2BdBaF8nGgVLbL
[8]こころもメンテしよう「うつ病」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html
[9]厚生労働省「休養・こころの健康」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b3.html
[10]こころもメンテしよう「統合失調症」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_03.html
[11]MSDマニュアル「双極性障害」
[12]e-ヘルスネット|アルコール依存症の心理・社会的治療
[13]MSDマニュアル「抑うつ障害群」
[14]心の耳「うつ病と思ってたら…」
https://kokoro.mhlw.go.jp/over/866/
[15]こころの耳「うつ病を克服し副食へ」
https://kokoro.mhlw.go.jp/album/002.html
- この記事の編集者
- 佐藤恵美
介護福祉士・社会福祉士保有。リハビリ病棟にて介護職を7年経験し、デイサービスや介護老人保健施設の相談職に従事。現在はフリーのWebライターとして活動中。