うつ病の初期症状チェックシート|意外と知らない過ごし方の注意点とは




気持ちの落ち込みや物事を楽しめない日が続くと「もしかしてうつ病?」と心配になってしまいますよね。

そこで今回は「うつ病の初期症状チェックシート」を使い、自分の状態を客観的に確認しましょう。

うつ病の初期症状取りやすい行動についても解説しているので「自分は当てはまるかな?」と確認しながら読み進めてくださいね。

記事の後半で解説しているうつ病の初期にやってはいけないことや、過ごし方も参考にしてください。

この記事で自分の状態やうつ病の初期についての理解を深め、心に寄り添う第一歩をふみだしましょう。

うつ病の初期症状チェックシート

うつ病の初期症状は、以下の「初期症状チェックシート」を使って確認できます。

▢ 悲しく憂うつな気分が一日中続く
▢ これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない
▢ 食欲が減る、あるいは増す
▢ 眠れない、あるいは寝すぎる
▢ イライラする、怒りっぽくなる
▢ 疲れやすく、何もやる気になれない
▢ 自分に価値がないように思える
▢ 集中力がなくなる、物事が決断できない
▢ 死にたい、消えてしまいたい、いなければよかったと思う

上記のうち5つ以上(必ず1か2を含む)が2週間以上続いているときは、医療機関の受診が必要な状態です。[1]

より詳しくセルフチェックしたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

うつ病の初期症状

うつ病の初期症状を以下の3つの側面から解説します。[2]

それぞれ解説します。

気分の落ち込み

うつ病初期の特徴として、気分が深く落ち込む「抑うつ」状態が続くことが挙げられます。

抑うつ状態になると、やりがいを感じていた仕事や趣味、スポーツなどに取り組んでも、以前のように心が満たされません。

そのほかにも、以下のような気持ちの変化が現れます。

  • イライラする
  • すぐ悲しくなる
  • 何をしても楽しくない
  • 悲しくないのに涙があふれませんれる
  • 疲れやすく何をしても楽しくない

気分の落ち込みやイライラなど「いつもと違うな」という日が続くときは、早めに医療機関を受診しましょう。

考えのかたより

うつ病になると思考力や集中力が低下するため、考えが極端な方向にかたよります。

具体的なサインは、以下のとおりです。

  • 頭が働かない
  • 考えがまとまらない
  • ひとつの考えにとらわれる
  • 自分には価値がないと感じる
  • 悪口を言われていると感じる

かたよった考え方しかできず「ぐるぐる思考」になりやすいのも特徴です。

ぐるぐる思考になると、以下のように物事をどんどん悪い方へと考えてしまいます。

例:

会社を休みたいけど、休むとみんなに迷惑をかける

頑張って出社したいけど、やっぱりムリだ

自分はダメな人間だ、生きてる価値がない

ぐるぐる思考にはまると抜け出すのが難しく、なかなかしんどい気持ちを振り払うことができません。

ぐるぐる思考について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

意欲や行動力の低下

うつ病になると何に対してもやる気が起きなくなります。

以下のような特徴に心当たりがあるか確認してくださいね。

  • 動作がゆっくりになる
  • 誰にも会いたくなくなる
  • 仕事や家事の能力が低下する
  • 何にも興味や関心が湧かない
  • 落ち着いて座っていられない

身だしなみを整えなくなったり家事をしなくなったりするため、周りの人に「大丈夫?」「なにかあった?」と心配されることも多くなります。

うつ病初期にとりやすい行動

うつ病初期に取りやすい行動は、以下のとおりです。

それぞれ解説します。

うつ病の人がとる行動についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてくださいね。

内科を受診する

うつ病初期には、以下のような症状が気になり内科を受診することがあります。

  • 全身がだるい
  • 胃のムカつき
  • 首や肩のコリ

心の症状に比べて身体の症状は自覚や相談がしやすいため、多くの人が精神科より先に内科を受診するのです。

内科を受診しても原因が分からず、さまざまな病院を転々としたあとに精神科を勧められる方も多くいます。

こころちゃん
こころちゃん

身体のどこかが悪いのかな?と内科に行かれる方が多いのです

人との交流を避ける

うつ病になると、人とのかかわりを避けるようになります。

考えがまとまらなかったり、話すエネルギーが低下したりして言葉が出ないため、コミュニケーションへの自信を失ってしまうのです。

「自分が何か迷惑をかけるかもしれない」「おかしいと思われているかもしれない」と極端なことを考え、人付き合いに怖さを感じることもあります。

自信の低下や人付き合いへの恐怖心から人との交流を避け、孤立してしまうことも珍しくありません。

ひきこもりがちになる

うつ病になると、体のだるさや意欲の低下により外出を避けるようになります。

外出しづらくなる理由は、以下のとおりです。

  • 他人の目線を気にする
  • 音や人混みなどの刺激に疲れる
  • 用事があっても身体が動かない

食事もとらず、一日中横になって過ごしてしまうという方も多くいます。

「以前のように活動できない自分を責める→どんどん気持ちが落ち込む」という負のスパイラルに入りやすい状態です。

うつ病初期にやってはいけないこと

うつ病初期にやってはいけないこととして、以下が挙げられます。

それぞれ解説します。

自分を責める

うつ病になったとしても、自分を責めないようにしましょう。

「15人に1人がうつ病になる」とも言われ、誰もが一度は経験する可能性がある一般的な病気なのです。[1]

決してあなたが弱いからうつ病になったわけではありません。

「自分が怠けていたからだ」「情けない」などと自分を責めないようにしましょう。

こころちゃん
こころちゃん

心が疲れているせいです。あなたのせいではありません。

大きな決断をする

うつ病の症状が出ているときは、退職や離婚などの大きな決断をするのは避けてください。

「退職」「離婚」などの極端なことを考えやすいのがうつ病の症状であるため、大きな決断は病状が落ち着くまで待ちましょう。

症状が落ち着けば状況も変化するため、今はゆっくり休むことがもっとも大切です。

もし今「うつ病で仕事を辞めたい」と考えている方は、こちらの記事を参考にしてくださいね。

医療機関を受診せず放置する

うつ病の症状を自覚したら、放置するのはやめましょう。

最悪の場合、ひとりで思いつめて「命を絶つ」という選択をする危険性があるためです。

放置している間に症状が落ち着いたとしても、適切な治療を受けないと再発の可能性は高まります。

うつ病の再発率は60%と繰り返しやすい病気のため、早いうちに専門的な治療を受けて繰り返さないようにすることが大切です。[3]

うつ病初期の過ごし方

うつ病初期の過ごし方として、以下が挙げられます。

それぞれ解説します。

うつ療養中の過ごし方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

しっかり休む

うつ病初期では、とくに休むことを大切にしましょう。

服薬や精神療法などの治療をしなくても、十分な休養により症状がよくなるケースもあります。

仕事や家事から離れると「迷惑をかけてしまう」と心配になるかもしれませんが、ムリして症状が悪化する方が周囲に大きな負担をかけるかもしれません。

「今は休むのが仕事」と割り切り、十分な休養をとるよう意識してください。

ストレス解消方法を身につける

気持ちが少し落ち着いているときに、自分に合ったリラックス方法を探しましょう。

ストレス解消方法を身につけると、あなたの心のお守りになるためです。

以下の例のようにムリせずに楽しめて、体力的・経済的にも長く続けられそうなものがよいでしょう。

  • 読書する
  • 動物と触れ合う
  • お風呂でゆっくりする
  • 友人とおしゃべりする
  • 好きなお菓子を食べる

「何をしているときに心がふわっと落ち着く感じがするかな?」と考えることがヒントになります。

心の救急箱を作るようなイメージで、自分に合ったストレス解消方法を身につけましょう。

早めに医療機関を受診する

うつ病かもしれないと思ったら、早めに精神科や心療内科を受診しましょう。

うつ病は「人に知られたくない」「甘えなのではないか」という思いから受診が遅れやすい病気ですが、治療が早ければ早いほど回復が早い病気でもあります。

治療期間は半年から1年以上にわたる場合が多いため、自宅や会社の近くで通院が負担にならない病院を選ぶのがよいでしょう。

「会社にバレてしまうのではないか」と不安の方もいるかもしれませんが、本人の了承なしに個人情報を伝えることはありません。

保険証を使った医療機関や診療科などの情報が職場に伝えられることもないため、安心して相談してください。

まとめ

うつ病のチェックシートで5つ以上(必ず1か2を含む)が2週間以上続いているときは、医療機関を受診しましょう。

もし当てはまらなかった方でも、以下のような症状がみられる方は要注意です。

「今とても心がつらいけど、チェックシートに当てはまらなかったから…」と受診を我慢する必要はありません。

心の病気は、受診が早ければ早いほど回復が早くなります。

チェックシートに当てはまった方も当てはまらなかった方も、おおかみこころのクリニックにご相談ください。

「最近ちょっと気持ちが疲れていて、話を聞いてほしいんですけど…」と気軽な気持ちでのご相談も大歓迎です。まずはLINE登録だけでもしてみてくださいね。

【参考資料】
[1]厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html

[2]うつ病のことが正しくわかる本 野村総一郎 西東社

[3]こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/return/return-worker/

この記事の執筆者
とだ ゆず
メンタルヘルスの記事を中心に執筆する看護師・保健師ライター。 精神科勤務での患者さんとの関わりや自身のうつ病経験から「人の心についてもっと知りたい」と思い、上級心理カウンセラーの資格を取得。 エビデンスに基づいた読者の心に寄り添う記事を心がけている。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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