「治療を続けてもうつがよくならない」
「もう治らないのでは」
このように感じてうつの治療を諦めそうになる方は少なくありません。
うつが治らないと自身を責めてしまうかもしれませんが、あなたに合った治療に取り組むことで回復の道を歩み直せる可能性は十分にあります。
この記事では、うつが治らないと感じる背景や感じやすい焦り、うつの新しい治療法として注目されているrTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)をご紹介します。
諦めそうになっているあなたが、治療の選択肢を知り希望を取り戻すきっかけになれば幸いです。
「うつが治らない」と諦める人は少なくない
「うつが治らない」と諦めそうになる方は少なくありません。
実際に、抗うつ薬や心理療法などによる標準的なうつ治療を受けても、2〜3割の人は症状が十分に改善しないと報告されています。[1]
うつの治りにくさは一定の割合で誰にでも起こりうるもので、あなたの努力や性格とは関係のないものです。
まずは「うつの治りにくさは一定の割合で生じるもの」と思い、必要以上に自分を責めないようにしましょう。

いつ治るのかわからないと諦めたくなりますよね💦
「うつが治らない」と諦めてしまう3つの原因
「うつが治らない」と諦めてしまう原因は、以下のとおりです。
それぞれ解説します。
薬を飲み続けられない
うつが治らないと諦めてしまう原因として、薬を飲み続けられないケースが挙げられます。
抗うつ薬は症状の変化が期待できる一方で、以下のような理由から飲み続けられないと感じる方が少なくありません。[2]
- 依存性が心配だった
- 薬が多いのが嫌だった
- 副作用がつらくて飲めなかった
薬を続けられないのは意志の弱さではなく、多くの人が直面する自然な問題です。
薬を飲むのがつらいと感じたときは自己判断でやめず、医師に相談して別の治療法を検討しましょう。
再発を繰り返している
何度も再発をくり返すと「うつが治らない」と諦めやすくなります。
実際にうつは再発率が高く、最初のうつを経験した後に約60%の人が再発する病気です。[3]
さらに再発を繰り返すごとに再発率が高まるとされるため、治療への希望を失ってしまうことも少なくありません。
再発によるつらさをひとりで抱え込まず、医師と相談しながら生活面や治療方針を調整することが、再発予防につながります。
うつの再発について詳しく知りたい方は、こちらの記事を合わせてご覧ください。
ほかの病気が隠れている
うつが治らないと感じる背景には、ほかの病気が隠れているケースがあります。
うつと症状が似ており、正しく診断されるまでに時間がかかる病気のひとつが双極性障害です。
正しく診断されにくい理由として、以下が挙げられます。[2]
- 躁の症状があらわれなかった
- 躁の症状を病気と思わず医師に伝えなかった
- 医師とのコミュニケーションが不足していた
自分では病気と思わないような気分の変化でも、医師に伝えることで正しい診断や治療につながることがあります。
「今日は落ち着いて過ごせた」「憂うつで寝込んでいた」など、日記やアプリに一言メモを残して診察時に医師と共有し、より的確な診断や治療につなげましょう。
うつが治らないときに感じる焦り
うつが長引くと生活や人間関係にさまざまな影響が出るため、焦りを感じるのはごく自然な感情です。
たとえば、以下のような思いを抱く方は少なくありません。
- 人とのかかわりが減る孤立感
- 休職や職場復帰に関する働き方の焦り
- このままよくならないのではという将来への不安
- 家族に支えられてばかりという罪悪感や自己否定感
- 周囲と比べて遅れているように感じる取り残された感
焦りはうつの症状によるものであり、誰にでも起こりうる自然な反応です。
ムリに気持ちを抑え込む必要はなく、感じている不安や焦りをそのまま医師に伝えることが、次の治療につながります。

ありのままのあなたの気持ちを伝えて大丈夫ですよ
「うつが治らない」と諦めたときにも試せるrTMSという選択肢
薬物療法や心理療法で十分な効果が得られなかったときには、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)という治療法を検討できます。
rTMSは磁気を使って脳の一部をやさしく刺激し、うつの症状をやわらげることが期待できる治療です。
おおかみこころのクリニックはrTMSの一種である「iTBS(間欠的シータバースト刺激法)」を導入しています。
iTBSのおもな特徴は以下のとおりです。
- 副作用が少ない
- 外来通院で受けられる
- 仕事や日常生活と両立しながら進めやすい
- 3~6分の治療時間で受けられる(別途、医師の診察あり)
このように、iTBSは負担を抑えながら継続できる治療法です。
rTMSについて知りたいときは、こちらの記事をあわせてご覧ください。
まとめ
うつが長引いたり再発を繰り返したりすることは一定の割合で起こるものであり、うつが治らないのはあなたの性格や努力によるものではありません。
「うつが治らない」と悩んだときは医師に相談し、薬の調整や心理療法、rTMSなどあなたに合った治療法を考えていくことが大切です。
rTMSは副作用が比較的少なく外来で通院しながら受けられるため、仕事や日常と両立しやすい治療として注目されています。
おおかみこころのクリニックでもrTMSを行っています。
まずは「話だけ聞いてみようかな」という気持ちで、お気軽にご相談ください。
24時間予約受付中
おおかみこころのクリニック
【参考資料】
[1]吉村玲児 難治性うつ病の要因と治療
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=4631
[2]渡邉衡一郎 難治性うつ病――リスクと予測,診断の再考――
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1200050384.pdf
[3]こころの耳 職場復帰のガイダンス(働く方へ)
https://kokoro.mhlw.go.jp/return/return-worker
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
精神科看護師としての経験を活かし、メンタルヘルスを中心とした記事を執筆。こころと身体のつながりを大切にしながら、そっと寄り添う文章を心がけています。
保有資格:看護師、保健師、上級心理カウンセラー、漢方養生指導士