うつ病の家族を支えていると「もう疲れた」「限界かもしれない」と感じることは少なくありません。
大切な人を思って動いているうちに、あなた自身のこころがすり減ってしまうこともあるでしょう。
この記事では、うつ病の家族を支える中で周りが疲れてしまった体験談や、支える側のこころを守るための工夫を紹介します。
また、従来の治療で改善が見えにくいときの選択肢として、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)について解説します。
「支える自分までつぶれないように」「新しい治療の選択肢を知りたい」と感じているときの参考になれば幸いです。
この記事の内容
うつ病の家族を支えると周りが疲れる
うつ病の家族を支えるなかで「疲れる」「イライラする」と感じるのは、誰もが抱く自然な感情です。
気を張って寄り添い続けるとこころと身体が少しずつ消耗するため、たとえ家族でも「もう限界かもしれない」と感じることがあるでしょう。
実際に、うつ病の家族を支えた経験を持つ人は「支えたいのに疲れてしまう」「ついイライラしてしまう」という体験談を語っています。
疲れを感じるのは冷たいわけでも、愛情が足りないわけでもなく、自然な気持ちとして受けとめてよいのです。
うつ病の家族を支えると周りが疲れる体験談
うつ病の家族を支えて疲れを感じた体験談として、以下が挙げられます。
ひとつずつ見てみましょう。
手に負えないと感じた
うつ病の家族を支えるなかで「もう手に負えない」と思ってしまう瞬間は少なくありません。
どんなに努力しても状況が変わらないように感じると、支える側も限界を感じてしまいます。
体験談として挙げられるのは、次のような声です。[1]
- もう付き合いきれないと思うところが正直ある
- 自分にできることがない。どうにもできないと感じる
- 薬が効くときもあれば効かないときもある。手に負えないことばかり
支える気持ちはあっても、結果が見えにくいと無力感に押しつぶされそうになることがあります。
こうした気持ちを抱えるのは、決してめずらしいことではないのです。
本当によくなるのか不安だった
症状が長く続くと「本当に良くなるのだろうか」と先の見えない不安に押しつぶされそうになります。
支える側も治療への期待と不安の間で揺れ動いてしまうのです。
体験談として、以下のような声が挙げられています。[1]
- 妻が完全によくなるのか不安があった
- いい先生にめぐりあって治してもらいたいという気持ちだけだった
- 胃腸科とか何か所も病院に行ったがちっともよくならなくて不安だった
改善が見えにくい時期は、支える側のこころにも大きな影が落ちます。
先の見通しが立たないと「このまま続くのでは」と不安になるのは自然な反応で、そう感じる人は決して少なくありません。

先が分からないから不安になりますよね💦
家族に対してネガティブな思いを抱いた
うつ病の家族を支えるなかで、思わずネガティブな感情が湧いてしまうことがあります。
体験談として挙げられるのは、次のような声です。[1]
- こっちの言うことも聞かないし勝手にしろと思った
- 働けない不安からお金の話ばかりでイライラしてしまった
- 困るとしか思いようがなかった。 これからどうしていいのかわからなかった
支えたい気持ちがあっても、思うようにかみ合わない場面ではイライラや無力感が生まれます。
このような気持ちを「疲れているサイン」としてとらえることで、次の工夫やサポートにつながりやすいでしょう。
うつ病の家族に周りが疲れたときの対処法
うつ病の家族に周りが疲れたときの対処法として、以下が挙げられます。
それぞれ解説します。
周囲にサポートしてもらう
うつ病の家族をひとりで支え続けると心身が消耗するため、周囲にサポートしてもらうことが大切です。
実際に身近な人のサポートを受けた体験談として、以下が挙げられます。[2]
- お母さんや妹との電話が支えになっていた
- 母が家事を全面的にバックアップしてくれた
- 兄が夫を連れ出してご飯を一緒に食べてくれた
このようにさまざまな人が少しずつかかわることで、負担を軽減しながらムリなく支えられるでしょう。
つらさや愚痴を聞いてもらう
うつ病の家族を支える中で感じるつらさや愚痴は、信頼できる人に聞いてもらうことが大切です。
話すことで気持ちが軽くなった体験談として、以下が挙げられます。[2]
- 義母が愚痴を受け止めてくれて救われた
- 上司に話を聞いてもらえたことでパンクせずにいられた
- 友達が福祉関係に進んでいたので夫のうつ病のことを話しやすかった
愚痴や弱音を吐き出すことで、気持ちの整理や支え続ける力を取り戻すことにつながります。
あなたの気持ちを正直に話すことは、必要なセルフケアのひとつです。

話してスッキリしちゃいましょう!
うつ病の相手に踏み込みすぎない
うつ病の家族を支えるときは、適度な距離をとることが大切です。
実際に距離を取る工夫をした例として、以下が挙げられます。[2]
- もう限界だと思い離婚するつもりで距離を置いた
- 暗い夫が家にいるのが嫌でしばらく帰らないようにした
- 体調の管理は本人に任せて調子が悪そうなら見守る程度にした
このように、心理的・物理的に距離を取ったり、本人に健康管理を任せたりする工夫が、支える側のこころを守る助けになります。
ムリして支え続けずできる範囲で相手に任せ、お互いに安心感を持てる距離を見つけましょう。
うつ病の治療が長引くのは誰のせいでもない
うつ病の治療が長引いても、それは本人や支える人の努力不足のせいではありません。
実際に抗うつ薬や心理療法を受けても、2〜3割の人は症状が十分に改善しないとされています。[3]
そのため「治らないのは頑張りが足りないから」「もっと支えられたら」と自分を責める必要はありません。
治療が思うように進まないときに選択肢となる新しい治療法も存在します。
うつ病が治らなくて諦めそうになっているときは、以下の記事を合わせてご覧ください。
【うつ 治らない 諦めにリンクお願いいたします】
うつ病の治療に疲れたときの選択肢となるrTMS
薬物療法や心理療法でうつ病の改善が見えにくいときは、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)という新しい治療法が選択肢になります。
rTMSは磁気を使って脳を刺激し、うつ病の症状を和らげることを目指す治療法です。
副作用が少なく通院でも治療を受けられるため、仕事や生活と両立しやすい点が特徴とされています。
本人や支える家族が「もう治療に疲れた」と感じるときこそ、新しい選択肢を知っておくことが大切です。
rTMSについて詳しく知りたいときは、こちらの記事をあわせてご覧ください。
まとめ|うつ病の家族を支えるあなたのこころも大切に
うつ病の家族を支える中で、大きな疲れや孤独を抱くのは自然なことです。
「もう限界かも」「イライラしてしまう」と感じても、あなたが冷たかったり努力が足りなかったりするわけではありません。
ムリをして支え続けるのではなく、以下のような工夫であなた自身のこころを守りましょう。
- 周囲にサポートしてもらう
- つらさや愚痴を聞いてもらう
- うつ病の相手に踏み込みすぎない
また、治療が長引くのは誰のせいでもありません。
抗うつ薬や心理療法で改善が見えにくいケースは一定数あり、そのようなときにはrTMSが選択肢のひとつとなります。
「うつ病の家族を支えるのはもう疲れた」と感じるときは、おおかみこころのクリニックまでお気軽にご相談ください。
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おおかみこころのクリニック
【参考資料】
[1]中村 智嘉、原 克枝、田野口桂子、佐田 知子、 花岡 美咲、小澤 和子、水野恵理子
うつ病患者の家族のセルフケア機能を高めるための看護援助の構築 ─語りの分析から─
[2]原田由香、澤田いずみ2、吉野 淳一|うつ病患者の配偶者が認識していたうつ病が家族にもたらした影響とその対処
https://www.jstage.jst.go.jp/article/japmhn/29/2/29_19-040/_pdf/-char/ja
[3]吉村玲児|難治性うつ病の要因と治療
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=4631
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
精神科看護師としての経験を活かし、メンタルヘルスを中心とした記事を執筆。こころと身体のつながりを大切にしながら、そっと寄り添う文章を心がけています。
保有資格:看護師、保健師、上級心理カウンセラー、漢方養生指導士