うつで生きる目標がないときの対処法5選|試しやすい目標の具体例も










「うつ病になってから生きる目標がない」

「この先なにを楽しみに生きたらよいかわからない」

うつ病で生きる目標が見つけられないと、将来に希望を持てず苦しい気持ちになりますよね。

うつ病になり生きる目標がないと感じるのは、あなたの気持ちの問題ではなく、脳の機能が不調をきたしている状態が原因と考えられます。

原因を知らないまま自身を責めてしまうと、症状の悪化につながるかもしれません。

この記事では、うつ病で生きる目標がないと考えてしまう理由対処法を解説します。

今日からできる方法を試して、あなたの気持ちを少しでも軽くしていきましょう。

うつ病で生きる目標がないと考えてしまう理由

うつ病で生きる目標がないと感じるのは、脳の機能が不調であることが原因と考えられています。

うつ病になると、感情や意欲を司る脳の働きに不調が生じます。そのため、以前は楽しめていたものに興味がなくなったり、なにかを始めようとする意欲が低下したりするのです。[1]

また、脳内の神経伝達物質「セロトニン」の低下も関係します。セロトニンが不足すると、脳は些細なタスクでさえ実行するのに膨大なエネルギーが必要だと判断するようになります。[2]

脳が誤った判断をすることで「目標なんて考えられない」という状態を引き起こすのです。

まずは「目標がないのは脳が疲れているからだ」と理解し、あなた自身を責めないようにしましょう。

こころちゃん
こころちゃん

目標をムリに作る必要はありません。
まずは、こころと身体をやすめることも大切です。

うつ病で生きる目標がないときの対処法

うつ病で生きる目標がないときの対処法には、次の5つがあります。

生きる目標が見つからないときは、ムリに探す必要はありません。

「これならできそう」と思う対処法から試してみてください。

心身を休ませる

まずはこころと身体を十分に休ませましょう

うつ病は、脳のエネルギーが足りない状態と考えられています。[3]

エネルギーが足りないと、目標を考えたり意欲的になったりするのは困難です。

ストレスの原因から物理的に離れ、心身の休養がしっかりとれる環境をととのえましょう

たとえば、静かな場所で過ごしたり、仕事や家事を休んだりする方法があります。また、情報過多を避けるためにスマホやテレビから離れるのも有効です。

ストレスから離れた環境で過ごすことは、症状をやわらげるだけでなく回復にもつながります。

下記の記事ではうつ病の治療期間の目安や治るきっかけを解説しているので、詳しく知りたいときは参考にしてください。

信頼できる人に相談する

うつ病で生きる目標がないときは、ひとりで抱え込まず信頼できる人に気持ちを打ち明けてみましょう

頭の中が不安でいっぱいになっていても、勇気を出して誰かに話してみるだけで気持ちが整理されてこころが軽くなります

家族や友人など、あなたが安心して話せる相手に相談してください。自分では思いつかなかった視点や気づきが、目標を見つけるヒントになります。

また、あなたの苦しみを誰かが理解してくれると感じるだけで、孤独感がやわらぎます。もし身近な人に相談しにくいときは、医師やカウンセラーを頼りましょう。

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リラクゼーション法を試す

リラクゼーション法を見つけて実践することは、うつ病で生きる目標がないときに有効です。

リラクゼーション法は心身の緊張をやわらげ、身体をリラックスさせます。

具体的には、下記のような方法があります。[4][5]

  • 瞑想:呼吸や音など特定の感覚に意識を向ける
  • 漸進的筋弛緩法:身体のさまざまな筋肉を意図的に緊張させた後に一気に力を抜く
  • 自律訓練法:自己暗示をして全身の緊張を解き、心身の状態を調整できるよう練習する

少しでも「これなら心地よいかも」と感じるものがあれば、気が向いたときに試してくださいね。

日々のできごとに感謝する

生きる目標がないと感じたら、日常にある些細なできごとに感謝の気持ちを向けてみましょう

意識的にポジティブな側面に目を向ける練習は、こころの状態を助けることにつながります。

金沢大学の研究では「許しと感謝のエクササイズ」が抑うつ症状を緩和させたと報告されています。このエクササイズは、ネガティブなできごとや自身の弱さを受け入れ「ありがとう」と唱えるものです。[6]

たとえば「温かい布団で眠れる」「美味しい食事がとれる」など当たり前に感じることに意識を向け、感謝してみましょう。

続けていくうちに物事を前向きに捉えられるようになり、少しずつ気持ちが変化していくのを実感できます。

こころちゃん
こころちゃん

小さな幸せを探して過ごしましょう!

小さな達成感を積み重ねる

うつ病で生きる目標がないときは、小さな達成感を積み重ねましょう

うつ病になると自己肯定感が下がりやすいため、今のあなた自身をそのまま認めてあげてください。達成感や楽しみを感じられる行動を少しずつ増やしていきます。[7]

たとえば「ベッドから起きられた」「寝巻きから着替えられた」など、簡単なものでかまいません。達成できたらカレンダーに印をつけたり、手帳に書き留めたりして記録します。

「できたこと」が見える化されると、自己肯定感を高める助けになります。

ただし、焦りは禁物です。主治医と相談しながらあなたのペースで活動量を増やしてください。

試しやすい目標の具体例

うつ病で意欲が湧かないときは、簡単で試しやすい目標を設定しましょう。大きな目標を立てるとプレッシャーになり、達成できないときに自己嫌悪になる可能性があります。

試しやすい目標には、次のものが挙げられます。

  • 日記をつける
  • 好きな音楽を聴く
  • 郵便物を取りに行く
  • 1ページだけ本を読む
  • 朝起きたら日光を浴びる
  • 1日のよかったことを3つ書く

たとえば、寝る前に1日のよかったことを3つだけ書きましょう。「ご飯を美味しく食べれた」といった些細なことでも書き出すことで、自分自身を責める気持ちがやわらぎます。[8]

まずは、日常生活の中で取り入れられる小さな目標から始めてみましょう心身の負担にならない範囲で、できそうなものをひとつ選んでください。

生きる目標はムリに作ろうとしなくてもよい

気分が落ち込んでいるときは、生きる目標をムリに作る必要はありません。

うつ病のときは心身のエネルギーが少なくなっている状態であり、目標を考えることが負担になることもあります。目標がないことを責めたり、ムリに何かを始めようとしたりするのは避けましょう。

うつ病の治療中は、まずエネルギーを回復させることを優先させてください焦りは、かえって回復の妨げになる可能性があります。

「今は休むとき」と割り切り、あなた自身に優しく接することを意識してください。適度に肩の力を抜き、ありのままで過ごす時間も回復のためには必要です。

まとめ

うつ病で生きる目標がないと感じるのは、脳の機能が不調をきたしているためです。あなた自身を責めず、まずは十分な休養をとりましょう。

回復のためには、信頼できる人への相談やリラクゼーション法の実践が助けになりますまた、小さな達成感を記録する習慣も気持ちを前向きにします。

目標はムリに探す必要はありません。

焦らず、あなたのペースで心身をいたわりながら、過ごしやすい日々を目指していきましょう。

おおかみこころのクリニックでは、対面だけでなくオンライン診療も実施しています。待ち時間なしで診察できるため、忙しい方でも気兼ねなく受診できます。初診でも当日受診は可能なので、お気軽にご相談ください。

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【参考文献】
[1]うつ病|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=9D2BdBaF8nGgVLbL

[2]セロトニン低下によってやる気が下がる仕組みを明らかに-うつなど疾患の病態理解や治療法開発のための重要な手がかり-|量子科学技術研究開発機構
https://www.qst.go.jp/site/press/20240102.html

[3]3 うつ病の治療と予後:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad003

[4]リラクゼーション法[各種施術・療法 一般]|厚生労働省eJIM
https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c02/11.html

[5]瞑想[各種施術・療法 一般]|厚生労働省eJIM
https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c02/07.html

[6]うつ病患者における感謝プログラムの開発と有効性の検証|科研費
https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-15K20760/15K20760seika.pdf

[7]うつ病の認知療法・認知行動療法(患者さんのための資料)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/04.pdf

[8]15分でわかる認知行動変容アプローチ2|働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/e_cba_2/data/e-learning.pdf

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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