「うつ病が治ったと思っていたのに、またつらくなってしまった」
このように、突然の再発に戸惑う方は少なくありません。
うつ病の再発には共通する傾向を理解することで、早めの対処ができ再発予防につながりやすくなるでしょう。
この記事では、うつ病が突然再発したように感じる理由や再発を防ぐためのセルフケアなどについて解説します。
「また再発するのでは」と不安なあなたにとって、この記事が次の一歩を考えるきっかけとなれば幸いです。
うつ病が再発する確率
厚生労働省の調査によると、うつ病を経験した人のうちおよそ60%が再発する可能性があると示されています。[1]
多くの人が再発を経験している中で「突然うつ病が再発した」と感じる方は少なくありません。
ただ、再発は突然起こるわけではなく、気づかないうちに疲労や睡眠不足、ストレスが積み重なっているケースが多いのです。
うつ病の再発はあなたの努力不足ではなく、こころと身体が「まだ休みたい」と伝えているサインととらえましょう。
うつ病の再発について詳しく知りたいときは、下記の記事をあわせてご覧ください。
うつ病が突然再発したように感じる理由
うつ病が突然再発したように感じるのは、少しずつあらわれる不調のサインに気づきにくいためです。
ストレスや生活リズムの乱れ、睡眠不足などが続くと、ある日ふと「前のようにつらい」と感じる瞬間が訪れます。
また、回復後に次のような症状が続くと、再発のリスクが高まるとされています。[2]
- 眠れない
- 疲れやすい
- 軽いうつ症状がある
気づかないうちにこのような症状が積み重なり、突然再発したように感じるのです。
うつ病の再発は、早めに気づくことで悪化を防げる可能性があります。
「最近疲れやすい」「気分が沈む日が増えた」と感じたら、気分記録アプリや日記などで変化を見える化しましょう。

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再発経験がある人が感じる再発のきっかけ
再発経験がある人が感じている「再発のきっかけ」は以下のとおりです。[3]
- 大きなストレスがあったから:49%
- 薬が嫌で飲まなかったから:26%
- 薬を飲むのを忘れてしまったから:15%
- その他:12%
- 分からない:19%
再発の原因はひとつではなく、ストレスや服薬の中断など日常の中で起きやすいものが多いことがわかります。
また、再発したときに「自分で不調に気づけるか」という質問では、次のような結果が報告されています。[3]
- 自分でわかる:40%
- 分かるときの方が多い:15%
- どちらともいえない:17%
- わからないときの方が多い:11%
- 自分ではわからない:15%
このように、再発に気づける人と気づけない人の割合はおよそ半々です。
再発による悪化を防ぐために、日常の小さな変化に気づいた時点で早めの対策をとりましょう。具体的な対策は次で解説しています。

再発に気づけるきっかけを増やしましょう
うつ病が突然再発するのを防ぐためにできること
うつ病が突然再発するのを防ぐためにできることとして、以下が挙げられます。
それぞれ解説します。
生活リズムをととのえる
生活リズムが乱れると突然再発するリスクが高まるため、まずは睡眠や食事のリズムを一定に保つことを意識しましょう。[4]
ムリに頑張ろうとするよりも、気軽にできることから始めるのがポイントです。
例として、以下が挙げられます。
- 朝起きたらカーテンを開ける
- 起きたらコップ1杯の水を飲む
- 寝る1時間前にはスマホを置く
こうした毎日のリズムの中に、服薬を自然に組み込むのもよいでしょう。
たとえば、以下のように「いつもの行動とセットにする」ことで、飲み忘れを防ぎやすくなります。
- 皿洗いの前に薬を飲む
- コップの横に薬を置いておく
- 冷蔵庫に服薬チェック表を貼る
もし「薬を飲み続ける意味が分からない」「本当に必要なのか不安」という気持ちがあるときは、下記の記事も参考にしてください。
意識的に休む時間を作る
「気づいたら限界だった」「昨日まで元気だったのに」という突然の不調を防ぐために、意識的に何もしない時間を作りましょう。
例として、以下のような工夫が挙げられます。
- 昼休みにストレッチをする
- 仕事の合間に深呼吸をする
- 5分間何も考えずにぼーっとする
短時間の休息を習慣にすることで、こころと身体の疲れに早く気づけるようになります。
完璧を目指さず「今日はこれで十分」と区切りをつけながら、突然の不調を未然に防ぐ意識を持ちましょう。
定期的な通院・相談を続ける
自己判断で受診をやめると気づかないうちに少しずつ疲れがたまり、突然再発する可能性があるため、定期的な通院や相談を続けましょう。
通院はただ薬をもらうためのものではなく、医師と一緒にこころの状態を確認し再発のサインに早めに気づくための時間です。
調子が安定しているときほど「今の状態を保つための通院」と考え通院を続けてください。

定期的に通院することで気づきやすくなります
不調を感じたらすぐに相談する
うつ病は、一度よくなっても突然再発する可能性がある病気です。
「昨日まで普通に過ごせていたのに、気づいたら気分が沈み動けなくなった」という形で再発に気づく人も少なくありません。
だからこそ「なんとなく調子が悪い」「少し疲れやすい」と感じた段階で、すぐに相談することが大切です。
ただ、再発に備えて対策や相談をしていない人は35%にも及びます。[3]
その理由としては、以下が挙げられます。
- 誰に相談してよいのかわからない:33%
- 再発はしないと思っている:30%
- 主治医と話す時間がない:12%
相談のきっかけをつかめず我慢を続けた結果、突然再発する傾向があるのです。
誰に相談したらよいのかわからないときは、オンライン診療を活用するのもひとつの方法です。
おおかみこころのクリニックのオンライン診療は自宅からスマホで受診でき、夜22時まで対応しているため仕事のあとでもご相談いただけます。
ひとりで抱え込まず話せる環境をととのえることが、再発予防につながります。
オンライン診療について詳しく知りたい方は、下記よりお問い合わせください。
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再発予防が期待されるrTMS療法を検討する
rTMSは、磁気で脳を刺激してうつ病の症状をやわらげることが期待される治療法です。
うつ病の再発を繰り返す方においても、再発リスクの低下が期待されています。[5]
rTMSは身体への負担が少なく、仕事や生活と両立しながら受けられるのが特徴です。
再発予防の選択肢としてrTMSを知っておくことは、治療の幅を広げるうえで大きな助けになります。
「薬を減らしたい」「また再発するのではと不安」というときは、医師に一度相談しましょう。
rTMSについては、下記の記事で詳しく説明しています。合わせてご覧ください。
突然のうつ病再発を防ぐには早めの相談とセルフケアを大切に
うつ病の再発は、決して珍しいことではありません。
突然つらくなったと感じてもそれはあなたが弱いからではなく、こころと身体が休みを求めているサインです。
再発を防ぐためには、以下のような積み重ねが大切です。
- 生活リズムを整える
- 意識的に休む時間をとる
- 定期的な通院・相談を続ける
再発をくり返しているときは、rTMS療法(反復経頭蓋磁気刺激)という新しい選択肢もあります。
どのような治療か詳しく知りたいときは、おおかみこころのクリニックにご相談ください。
オンライン診療では、ご自宅からスマホでご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。
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【参考資料】
[1]コラム・活動事例・資料編 資料1:うつ病について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0126-5g.html#s1
[2]Ⅱ.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害 2016|日本うつ病学会治療ガイドライン
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/20190724.pdf
[3]精神障がい者の生活と治療に関するアンケート|全国精神保健福祉会連合会https://seishinhoken.jp/files/medias__files/src/016yx0qdrr8kbzkagtxsfknw59.pdf
[4]Hyong Jin Cho
Sleep Disturbance and Depression Recurrence in Community-Dwelling Older Adults: A Prospective Study
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2707854
[5]反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)による治療抵抗性うつ病への維持療法|鬼頭 伸輔
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsbpjjpp/33/2/33_67/_pdf/-char/ja
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
精神科看護師としての経験を活かし、メンタルヘルスを中心とした記事を執筆。こころと身体のつながりを大切にしながら、そっと寄り添う文章を心がけています。
保有資格:看護師、保健師、上級心理カウンセラー、漢方養生指導士









