お酒を飲んだ後、理由もなく気分が落ち込んだり、不安に押しつぶされそうになったりしませんか?
こうした「酒鬱(さけうつ)」に悩む人は少なくありません。
酒鬱は一時的なものと考えられがちですが、症状がひどいときや繰り返すときは、アルコール依存症やうつ病につながるリスクもあります。
本記事では「酒鬱がなぜひどくなるのか」という原因や今日からできるセルフケア、さらに受診すべきタイミングまで解説します。
あなたに合った対応をして、飲酒後の気分の落ち込みや浮き沈みをやわらげましょう。
酒鬱とは
酒鬱とは飲酒した後に生じる精神的な不調のことです。
ここでは、酒鬱の具体的な症状と原因、二日酔いとの違いについて説明します。
酒鬱とは「飲酒後の気分の落ち込み」
酒鬱とは飲酒後の気分の落ち込みのことで、具体的には以下のような症状があらわれます。
- 不安
- 焦り
- 罪悪感
- 抑うつ感
- 自己否定感
酒鬱は、翌朝目覚めたときやお酒が抜けてきたときに強くあらわれます。
楽しくお酒を飲んだ翌朝に突然気分が落ち込んだり、理由のない不安に襲われたりすることもあるでしょう。
ひどいときは、涙が止まらなくなったり将来への不安が無性に強まったりすることもあります。

楽しくお酒を飲んだ翌日につらいですね💦
酒鬱の原因は飲酒によるセロトニンの減少
人はお酒を飲み始めると、アルコールにより幸せホルモンとよばれるセロトニンの分泌が増え、一時的にリラックスしたり気分が高揚したりして「お酒を飲むと楽しい」と感じます。
しかし、お酒を飲み続けるとセロトニン量が減少し、酒鬱の状態が起こりやすくなるのです。[1]
つまり、飲酒量が増えるほど気分が不安定になり、衝動的に怒りをぶつけてしまうことや、抑うつを感じることが起こります。
二日酔いと酒鬱とのちがいは身体症状の有無
酒鬱と二日酔いは混同されやすいものの、中心となる症状が異なります。
二日酔いは以下のような身体症状がメインです。[2]
- 身体的な症状
- ・頭痛
・めまい
・吐き気
一方、酒鬱は以下のような精神症状がメインです。
- 精神的な症状
- ・不安
・焦り
・罪悪感
・自己否定感
・気分の落ち込み
両方が同時に起こることもありますが、二日酔いが回復しても「気分の落ち込みだけが長引く」ときは、酒鬱の可能性が高くなります。
とくに症状がひどいときや数日続くときは、うつ病の初期症状と区別がつきにくくなることもあるため、早めに精神科や心療内科を受診しましょう。
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酒鬱がひどくなる要因
酒鬱がひどくなる要因として以下のものがあります。
それぞれの要因を詳しく解説します。
「酒鬱はどうやったら治るのかな?」と悩んだら下記の記事をご覧ください。
飲酒習慣
酒鬱がひどくあらわれる人の特徴として、飲酒習慣が関係しているケースが多くあります。
- 連日の飲酒習慣
- ストレス発散目的での飲酒
- 大量飲酒や短時間での一気飲み
ストレスや不快な気持ちをまぎらわすような飲酒は「危険な飲酒」とされ、飲酒量や頻度が少しずつ増えていく傾向があります。[3]
そして、気づかないうちに精神面の不調が強まり、さらにお酒を手放しづらくなる悪循環が起こりやすくなるため注意しましょう。
また、飲酒量による心身への影響は年齢や体質によっても異なります。
一般的には、男性よりも女性のほうが体内の水分量が少ないため、アルコールの影響を受けやすいといわれています。[4]
あなたに合った適量を見極めるようにしてください。
ストレスを抱えやすい性格
酒鬱は、性格的な傾向とも関係があります。
以下のような性格の人は、酒鬱の症状が出やすい傾向があるとされています。[5]
- 心配性
- 内向的
- HSP気質
ストレスを抱えやすいと、飲酒後の不安感や抑うつを感じやすくなるのです。[5]
うつ病や不安障害などこころの病気
過去にうつ病や不安障害を経験したことがある、もしくは現在症状があるときは酒鬱が悪化しやすくなります。[3]
落ち込みや不安をやわらげる目的で、飲酒をしたくなることもあるかもしれません。
しかし、一時的には気が紛れても、アルコールの効果が切れた後の反動でかえって症状を悪くしてしまうことがあります。
こころの病気の症状をやわらげるための飲酒は避けるようにしましょう。
酒鬱がひどいときのセルフケアと対処法
酒鬱がひどいときには以下のようなセルフケアや対処法を試してみてください。
それぞれの方法を詳しく説明します。
お酒を飲む機会を減らす
酒鬱を防ぐには飲酒量や頻度を見直し、お酒を飲む機会を減らしましょう。
具体的には以下のような方法を試してください。[6][7]
- 週に1回以上の休肝日を作る
- あらかじめ飲む量を決めて守る
- 飲んだ日や量を日誌につけて把握する
たとえば、飲む前に家族や周囲の人に飲む量を伝えたり、飲む本数だけ購入したりすると飲みすぎを防げます。
あなたがどれくらい飲んでいるのか把握することから始めてください。

周りの人にも相談してお酒を飲む機会を減らしましょう!
睡眠リズムをととのえる
酒鬱を防ぐには、睡眠のリズムをととのえることも大切です。
「寝酒」によるアルコール摂取は眠りにつきやすくなるものの、睡眠の質を低下させるため、酒鬱の症状がひどくなることがあります。[8]
眠るための飲酒を避けるためには以下のことを試してください。
- 就寝・起床時間を一定にする
- 日中は身体を動かして自然な眠気を促す
- 睡眠に困ったら早めに医療機関へ相談する
睡眠リズムがととのうだけで、酒鬱の症状が軽くなるケースもあります。
飲酒以外の楽しみを見つける
飲酒以外の楽しみや余暇を増やし、飲酒機会を減らすのもよいでしょう。
たとえば、以下のような楽しみ方があります。
- 外に出て散歩する
- カフェでお茶を飲む
- 映画を観に出かける
- 運動やストレッチをする
- 料理や読書など自宅でできる趣味を見つける
最初は「お酒を飲まないと楽しめない」と感じるかもしれませんが、少しずつ新しい楽しみを見つけ飲酒に頼らない生活を目指してください。
ひとりで悩まず信頼できる人に相談する
酒鬱の悩みをひとりで抱え込まず、信頼できる人に相談するのも有効です。
家族や友人にあなたが酒鬱で悩んでいることを話してみると、気持ちが楽になることもあります。
「一緒にお茶を飲もう」と誘ってくれたり、「今日は飲みに行くのをやめよう」と協力してくれるかもしれません。
周囲の理解とサポートが得られれば、お酒を減らす取り組みもしやすくなるでしょう。
精神科や心療内科などの医療機関を受診する
セルフケアを試しても症状がよくならないときや、日常生活に支障が出ているときは、迷わず精神科や心療内科などの医療機関を受診しましょう。
飲酒とメンタルの関係を専門的に判断し、必要に応じた治療やサポートを提案してくれます。
「まだ病院に行くほどではない」と自己判断せず、気になることがあれば早めに相談することが大切です。
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酒鬱がひどい|受診すべきタイミング
酒鬱が続くときは、単なる一時的な気分の低下ではなく、アルコール依存症やうつ病の可能性があります。
以下のようなサインがあるときは、医療機関を受診することを検討してください。
具体的に解説していきます。
感情がコントロールできない
酒鬱の症状がひどくなると、感情のコントロールが難しくなります。
- 感情の起伏が激しい
- イライラが止まらない
- 理由もなく涙があふれてくる
感情がコントロールできないときは、アルコールによって脳の感情をコントロールする機能が低下していたり、うつ病がかくれていたりするかもしれません。
気になる症状があるときは、早めに医療機関を受診しましょう。
飲酒の量や頻度を管理できない
飲酒量や頻度を管理できないときは注意が必要です。
たとえば、以下のような状況になるときは専門機関に相談しましょう。[9]
- 朝や昼間から飲んでしまう
- 飲み始めると止められず量を制御できない
- 飲んではいけない場面(運転前など)でも飲んでしまう
「このままではまずい」と分かっているのに止められないときは、専門的な治療が必要です。[10]
仕事や日常生活に支障が出ている
仕事や日常生活に支障をきたしているときも受診の目安です。
- 仕事に集中できない
- 遅刻や欠勤が増えた
- 飲酒のことが頭から離れない
- 家族や周囲にあたってしまう
- 飲酒した翌日に動けなくなる
人間関係や日常生活、仕事に支障が出ているのであれば、早めに医療機関へ相談してみましょう。

ひとりで悩まずにおおかみこころのクリニックで気軽に相談してくださいね!
まとめ
酒鬱は、飲酒後に起こる気分の落ち込みや精神的な不調で、多くの人が経験する症状です。
酒鬱の症状がひどくなる要因は、ストレス発散目的での飲酒や飲酒習慣、ストレスを抱えやすい性格、うつ病や不安障害などが関係しています。
気持ちが落ち込む日が続くときは、飲む量や睡眠リズムを見直したり気分転換になる時間を増やしたりと、できることから対策していきましょう。
それでもつらさが続くようであれば、ひとりで悩まず医療機関に相談してください。
おおかみこころのクリニックではオンライン診療を実施しています。自宅から外出せずに、24時間365日LINEやWEBから予約が可能です。
あなたのこころが少しずつ軽くなるように、信頼できる人や専門家に相談しながらお酒との健康的な付き合い方を見つけていきましょう。
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【参考文献】
[1]アルコールに関連した医学的問題|新町クリニック健康管理センター
https://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/dl/120329_6.pdf
[2]健康日本21アクション支援サイト|厚生労働省
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/alcohol/a-03-005
[3]うつ、不安とお酒の関係|依存症対策全国センター
https://www.ncasa-japan.jp/notice/alcoholism/depression
[4]飲酒ガイドライン作成検討会|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38541.html
[5]Shy people more prone to anxiety during hangovers|University College London
https://www.ucl.ac.uk/news/2018/dec/shy-people-more-prone-anxiety-during-hangovers
[6]【飲酒】お酒と上手に付き合おう|全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat450/sb4501/p007
[7]健康に配慮した飲酒に関するガイドライン|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001223643.pdf
[8]お酒を飲むとぐっすり眠れる?|NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
https://www.ncnp.go.jp/hospital/guide/sleep-column22.html
[9]松下先生に「アルコール依存」を訊く|公益社団法人 日本精神神経学会
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=25
[10]依存症|こころの情報サイト 国立精神・神経医療研究センター
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=819yAWLAzXBx5XZ5
- この記事の執筆者
- すみこ
作業療法士歴13年の経験を活かし、医療記事を中心に活動するWebライター。 読者の皆様のこころと身体の健康をサポートし、前向きな気持ちになれる文章を心がけています。









