うつ病が治る瞬間ってわかりますか?うつ病が続いて『普通の感覚』がわからなくなってしまいました
うつ病が治る瞬間ってわかりますか?うつ病が続いて『普通の感覚』がわからなくなってしまいました
うつ症状が続くと、病気になる前の感覚がわからなくなり「本当に治るのかな?」と不安になることがありますよね。
今回の記事では、うつ病が治る瞬間についてやうつ病が治ったと感じた瞬間の体験談を紹介します。
うつ病が治ったと言える基準や回復までのステップ、回復に必要なことも紹介するので、回復の道のりをイメージしてくださいね。
この記事を通して「うつ病と付き合う」という視点を持ちながら、長期的に心身が安定するお手伝いができると幸いです。
うつが治る瞬間とは
うつ病はよくなったり悪くなったりを繰り返しながら改善するため「治る瞬間」をハッキリ感じ取ることは難しいでしょう。
回復ペースには個人差がありますが、適切な治療を受けた半数以上の方は半年以内にうつ病が改善するとされています。[1]
治る・治らないにこだわらず、自分の考え方や行動のクセ、症状とうまく付きあうことが大切です。
うつ病の症状に「過去と未来のことばかり考えてしまう」というものがあります。
「いつ治るんだろう?」という不安を持ちながらも「今調子がよければそれでいいや」と割り切る視点を持ってみてください。
うつ病が治る瞬間を感じ取ることは難しいかもしれません。
休養や治療をしている「今」を積み重ねることで、少しずつ症状がよくなっていくはずです。
「今」のあなたを大切にしましょう!
【体験談】うつが治ったと感じた瞬間
うつ病が治ったと感じた瞬間には、以下のような特徴があります。[2]
- 心と身体に元気が戻ったとき
- うつ病の症状がなくなったとき
- 自分で考え感じる力を取り戻したとき
体験談として以下が挙げられます。
■Aさん体験談
『良くなってきたらものすごくコミュニケーションを取りたいっていうのがある、活発的になってくる。人のことも興味が湧いてくるし 、話もどんどんできるし』
■Bさん体験談
『それまではなんか職場復帰できるだろうかとかいう不安がですね。ものすごく大きくて、それを散歩に切り替えることによって、そういう不安はまず退院が先、外泊が先、外泊してから、退院してから、家事ができるようになって、復職するっていうその順番立てが、自分の中でできるようになってから良くなったと思いますね。(その前は)もうごちゃごちゃです』
■Cさん体験談
『花がきれいだと思った時、空を見ても「あぁ今日は真っ青できれいだなー」とか思えるようになった』
【チェックあり】うつが治ったと言える基準
うつ病は、症状がない状態が2か月以上続くと「寛解(治ったように見える状態)」という段階になります。[1]
以下のような状態が続くときは、職場復帰を考えてもとの生活に戻る準備を始めましょう。
- 体調不良や疲労感がない
- 自分の意思を表現できる
- 集中して物事にとき組める
- 食事や睡眠のリズムが戻った
- 周囲のアドバイスを素直に受け入れられる
寛解状態が16-20週以上続くと「回復」と言われる状態になります。
回復状態になっても再発を防ぐために、一定期間は薬を飲み続ける「維持療法」を行いましょう。
外出や職場復帰の際に強い疲労感や眠気、不安などを感じるようであれば、もう少しゆっくりと休むことが必要です。
「うつ病になる前みたいにやらなきゃ!」と焦らず、できることをひとつずつ増やしていきましょう。
うつから回復するまでの3ステップ
うつ病から回復するまでのステップとして以下が挙げられます。[1]
それぞれ解説します。
各時期の過ごし方については、下記の記事をご覧ください。
急性期
うつ病の症状が強くあらわれ、日を追って悪化する時期です。
以下のような症状が挙げられます。
- 眠れない
- 食事がとれない
- 起き上がれない
- 周囲に申し訳ない気持ちになる
- 身体は動かないのに気持ちは焦る
もっともつらい時期ですが、十分な休養と適切な治療を受けることが何よりも大切です。
回復期
うつ病の症状が少しずつ回復する時期です。
「少し散歩してみようかな」「本でも開いてみようかな」と気力が回復してきますが、右肩上がりに症状がよくなるわけではありません。
体調がよい日もあれば翌日にはまた悪くなるのを繰り返すのが特徴です。
「せっかくよくなったのに、また悪くなるなんて…」と自分を責めないようにしましょう。
再発予防期
抑うつ症状がなくなり、少しずつ以前の生活に戻る時期です。
この時期は以下を心がけましょう。
- やってみたいことをやってみる
- よくなったり悪くなったりすることを受け入れる
- 「〇日までに××をする」のように自分にノルマを課さない
うつ病は再発率が高いため、症状が安定しても再発や悪化を防ぐために治療を受け続ける必要があります。
「もう大丈夫」と自己判断で治療を中断しないようにしましょう。
うつから回復するために必要なこと
うつ病から回復するために必要なこととして、以下3つが挙げられます。[1]
それぞれ解説します。
薬をやめない
抗うつ薬は必要な量を飲まないと効果が得られないため、自己判断で薬をやめたり減らしたりしないようにしましょう。
抗うつ薬は急にやめると不安や焦燥感、不眠などの症状が強く現れることがあります。
「今日は気分がいいから薬はやめておこう」と自己判断せずに、医師の指示にしたがって服薬してください。
薬を飲み忘れてしまったときは病院に連絡して主治医に確認しましょう。
副作用がつらいときは主治医に相談し、あなたにあった抗うつ薬を飲むようにしてください。
悩んだらひとりで抱え込まず相談してくださいね。
十分な休養をとる
うつ病の治療では何よりも十分な休養が必要です。
休養では以下4つのポイントを意識しましょう。
- 十分な睡眠をとる
- とにかくのんびりする
- ストレスの原因から離れる
- 「しっかり休まなきゃ」と焦らない
「休むとみんなに迷惑がかかる」「早く復帰しないといけない」と自分を追いつめてしまいますが、十分な休養をとらないと再発リスクが高まってしまいます。
早めの社会復帰には十分な休養が何よりも必要なため「今の仕事は休むこと」と考えましょう。
うつを否定しない
うつ病は「この状況を乗り越えよう」「なんとかしよう」と頑張った結果、どうにもならなかったときに自分を守ろうとしてあらわれる症状です。
「あのまま頑張り続けると危険だから、心と身体を守るためにうつ病になったんだ」という視点を持ちましょう。
うつ病を否定してムリに回復しようとすると、焦りが出て余計に症状が重くなります。
「今は休養が必要なんだ」と割り切って休養に専念してくださいね。
「今」の自分と向き合おう|まとめ
うつ病はよくなったり悪くなったりを繰り返しながら改善するため「うつは治る瞬間」をハッキリ感じ取るのは難しいでしょう。
うつ病から回復したと感じたときの特徴として、以下が挙げられます。
- 心と身体に元気が戻ったとき
- うつ病の症状がなくなったとき
- 自分で考え感じる力を取り戻したとき
「もう治った」と自己判断して治療や服薬を中断するのは危険です。
「前は乗り越えられなかった場面でも、今日はうまく対処できた」「今日は憂うつな気持ちになりやすい」という繰り返しの中でうつ病が改善していくため、長期的にうつ病と付き合うつもりで治療をしましょう。
おおかみこころのクリニックでは、あなたのご相談をお待ちしております。自宅から診察を受けたい方はオンライン診療のご利用がおすすめです。是非お気軽にご相談ください。
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【参考資料】
[1]うつ病のことが正しくわかる本 野村総一郎 西東社
[2]うつ病患者の回復過程における改善の認識
https://core.ac.uk/download/pdf/51478031.pdf
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
メンタルヘルスの記事を中心に執筆する看護師・保健師ライター。 精神科勤務での患者さんとの関わりや自身のうつ病経験から「人の心についてもっと知りたい」と思い、上級心理カウンセラーの資格を取得。 エビデンスに基づいた読者の心に寄り添う記事を心がけている。