鬱(うつ)になりやすい人の特徴|考え方や行動の具体例、セルフケアを紹介










「もしかしてうつ病になりやすいタイプなのかも…」と不安に思ったことはありませんか。

真面目で責任感が強い人ほど日々のストレスを抱え込みやすく、気づかないうちにこころの負担が大きくなることがあります。

うつ病になりやすい傾向を知ることで、適切な対策をとりこころの健康を守ることができるでしょう。

この記事では、うつ病になりやすい人の特徴や、考え方や行動の具体例、こころの負担を軽減するための対策について紹介します。

あなたのこころの健康を守るためにも、まずはあなた自身がうつ病になりやすい人なのかを知ることから始めてみてください。

うつ病になりやすい人の特徴

うつ病は、年齢や職業などに関係なく誰でもなる病気ですが、うつ病になりやすい人には以下のような共通する特徴があります。[1]

  • 几帳面
  • 真面目
  • 責任感や正義感が強い
  • 周囲から信頼されやすい

たとえば、真面目で責任感が強いため、うまく手抜きができなかったり一人で抱え込んでしまったりしてこころが疲れてしまうのです。

うつ病の原因ははっきりしていませんが、こころの弱さが原因ではありません。うつ病を発症する要素は、気質と状況によるストレスといわれています。[2]

うつ病に関係するストレスは、病気や転職、配置転換や引っ越しなどの大きなストレスだけではありません。

仕事のトラブルや人間関係による疲れ、孤独感など小さなストレスの積み重ねでも発症することがあります。[1]

こころの健康を保つためには、日々のストレスを適切に発散することや、あなた自身が抱えているストレスに気づくことが大切です。

うつ病になりやすい人の気質については次で解説します。

また、以下の記事ではうつ病の初期症状のチェックシートを紹介しています。合わせてご覧ください。

自分が楽しいことをしているときは元気に見える「非定型うつ病」になりやすい人の特徴は、下記回の記事をご覧ください。

うつ病になりやすい人の幼少期からの性格(気質)

うつ病になりやすい人には共通する気質があります。気質とは、遺伝的要因が関係している生まれもった性格です。[3]

うつ病になりやすい人は、幼少期から以下のような気質があります。[2]

それぞれ詳しく見ていきましょう。

循環気質

循環気質な方は、以下のような特徴があります。[2][4]

  • 人と関わるのが好き
  • 柔軟な対応ができる
  • 社交的で明るい性格
  • 人との輪を大切にする
  • 陽気でテンションが高い
  • 面倒見がよく頼れる存在

どこでも適応しそうな性格ですが、寂しがり屋でカーッと怒るけど、すぐに落ち着くような一面も持ち合わせています。

また、寂しがり屋なため孤独な状態が長く続くと疲れが溜まるのが特徴です。人と話すことでこころの安定を得られるでしょう。

こころちゃん
こころちゃん

友人とランチに行くとよいかもしれませんね!

執着器質

執着気質な方は、以下のような特徴があります。[2][4]

  • 生真面目
  • 完璧主義
  • 責任感が強い
  • 非常に凝り性
  • 自分にも他人にも厳しい
  • 堅物でルールを重んじる

執着気質の方に、おおざっぱさや自分にも相手にも寛容であることを求めるのは難しいでしょう。ただし、認められたい気持ちが強く、周囲の期待に添おうと頑張りすぎてしまう傾向があります。

「完璧じゃなくてもよい」「まあいいか」という気持ちで過ごすことが大切です。

メランコリー親和型

メランコリー親和型の方は、以下のような特徴があります。[2][5]

  • 几帳面
  • 真面目
  • よい人
  • 人を気遣う
  • 信頼感がある

メランコリー親和型の方は「あの人よい人ね」と周囲から言われるような性格です。

ただし、柔軟性がなく挫折に弱い一面があります。そのため、周囲に頼られても断れずにひとりで抱え込みストレスが多くなるのです。

不安心配性

不安心配性な方の特徴は以下のとおりです。[2][4]

  • 心配性
  • 怖がり
  • とても繊細
  • 引っ込み思案
  • 気にしやすい
  • 動揺しやすい

思い込みや妄想を持ちやすい傾向がありますが、心配性なため仕事は丁寧できっちりこなします。長期のリスクマネジメントや先を見通すことが得意です。

相手の気持ちの裏を読もうとしたりマイナスに捉えたりしてストレスを抱えやすいため、誰かに話を聞いてもらいこころを穏やかにする工夫をしましょう。

うつ病なりやすい人の考え方や行動の具体例

うつ病になりやすい人は、偏った考え方をすることがあります。

人と話すときに裏を考えて、上司に褒められても「ムリして褒めてくれているのかな」と言われた言葉の裏を考えてしまうのです。

ほかにも、ものごとを「100%の良い・悪い」で考える白黒思考の方が多くいます。白黒思考についてはこちらの記事をご覧ください。

また、たまたま起きたできごとに対して、一般化してしまう傾向もあります。

たとえば、仕事で上司への報告を忘れたときに「あぁ…やっぱり自分は何をやってもダメだな」と常に自分がダメなんだと思い込んでしまうのです。

うつ病になりやすい人は、ひとつのできごとに対して深く考えすぎてストレスを抱え込みやすく疲れてしまうでしょう。

こころちゃん
こころちゃん

疲れるけど悩んじゃいますよね💦

うつ病にならないためのセルフケア

うつ病になりやすい人は、日頃から適切な対策をとることでこころの健康を保つことができます。

具体的なセルフケアは以下のとおりです。

それぞれ詳しく解説します。

ストレスに気をつける

うつ病になりやすい人は、ストレスを溜めやすいため適度に発散する必要があります。
ストレスに早く気づくことがポイントです。[6]

たとえば、気分が落ち込んでものごとをマイナスに考えてしまったり、イライラして落ち着かなかったりするときはストレスが溜まっています。

ストレスが溜まっていると気づいたら、以下のような対策をとりましょう。

  • 身体を動かす
  • 腹式呼吸をくり返す
  • 今の気持ちを書き出す

ほかにも、失敗しても笑ってみたり歌を歌ってみたりするのも有効です。

運動は、ネガティブな気持ちを発散したりこころと身体をリラックスさせたりする効果があります。

頑張って運動する必要はありません。1日20分を目安に「スッキリした!」と思える程度の運動をしましょう。[7]

ストレスが溜まると、不安や緊張で呼吸が浅くなるため、以下の方法で腹式呼吸を行います。[8]

① 頭の中でゆっくり3秒数えながら口から息を吐き出す
② 同じように3秒数えながら鼻から息を吸い込む

5~10分くらい、お腹のへこみや膨らみを意識しながら行います。

また、今の気持ちを書き出すことも大切です。実際に書き出すことで、頭の中のモヤモヤを吐き出すことができるのです。

あなたの中にあるストレスを適度に解消して、うつ病の予防をしましょう。

自分のこころの法則に気づく

人にはそれぞれ考えや行動パターンがあります。しかし、多くの人は自分の考えるパターンに気づいていません。[1]

あなたのこころの法則に気づくことで、マイナスな自動思考から脱出しストレスに強くなれます。

こころの法則に気づくには、こころが元気なときの考え方と落ち込んでいるときの考え方の違いを書き出しリストを作成します。以下のリストを参考にしてください。

こころが元気なとき
・自分について:失敗しても大丈夫。次に頑張ればよい
・人々について:苦手な人は気にしない 
・世界観について:いろいろな考えの人がいるな
落ち込んでいるとき
・自分について:みんなに嫌われているんだ
・人々について:できる人だけが目立つ世の中だ
・世界観について:少しの失敗も許されない

このように変化を比べることで、こころの法則を知るきっかけになるのです。

コミュニケーションスキルを身につける

言いたいことがうまく言えずガマンしているとストレスが溜まります。

アサーションスキル(自分の意見や気持ちを相手にうまく伝えるスキル)を身につけることで、コミュニケーションストレスを軽くすることができるでしょう。[1]

自分の考えを人に伝えるためには、以下のポイントが大切です。[9]

  • 周囲を気にしすぎない
  • 自分の気持ちを知っておく
  • 自分の意見を言う権利は誰にでもある
  • 意見を伝えるのが上手い人を観察する

意見を伝えるときは、主語を「わたし」にするとよいでしょう。

たとえば、以下のように「わたし」を主語にすると相手に意見を伝えやすくなります。

相手の説明が分かりにくい場合
NG例:「その説明分かりにくいです」
OK例:「わたしには少し難しいようです。もう少し教えていただけませんか?」

まとめ

うつ病になりやすい人には、共通する特徴や考え方、行動パターンがあります。とくに、真面目で責任感が強い人や、ストレスを発散しにくい人は注意が必要です。

また、幼少期からの生まれ持った気質もうつ病発症に影響を与えることがあります。

うつ病にならないためには、適切なセルフケアを行いこころの健康を保つことが大切です。

「誰かに相談したいな」「ちょっとこのモヤモヤを吐き出したいな」と思ったら、おおかみこころのクリニックへお越しください。あなたのモヤモヤを一緒に解決していきましょう。

わたしたちはいつでもお待ちしております。

おおかみこころのクリニック

【参考文献】
[1]うつ病の認知療法・認知行動療法 (患者さんのための資料) |厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/04.pdf

[2]うつ病の理解と対応|防衛医科大学校 精神医学講座教授 防衛医科大学校病院 副院長 野 村 総一郎
https://www.p.u-tokyo.ac.jp/soudan/070nenpo/pdfs/2010nomura.pdf

[3]性格心理学|新潟青陵大学
https://www.n-seiryo.ac.jp/~usui/koneko/4seikaku.html

[4]気質理解によるメンタルヘルス不調の予防と 人間関係ストレスの軽減|橋本 佐由理
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/67/3/67_98/_pdf

[5]うつ病になりやすい人がいると聞いたのですが。|千葉県
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenshidou/faq/376.html

[6]4.うつ病を防ぐ|厚生労働省 こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad004

[7]体を動かす|こころもメンテしよう 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_01.html

[8]腹式呼吸をくり返す|こころもメンテしよう 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_03.html

[9]よくわかるアサーション 自分の気持ちの伝え方 こころの薬BOOKS|平木 典子
https://amzn.asia/d/feRD0gH

この記事の執筆者
柚木ハル
作業療法士。精神科16年の臨床経験を生かして執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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