うつ病でイライラして攻撃的になる家族への対処法|落ち着かせる言葉










うつ病の家族がイライラして攻撃的になることはありませんか。

家族がイライラを示すのは、決して珍しいことではありません。

しかし、そのような状況に直面すると、どのように対応すればよいか戸惑ってしまう人もいるのではないでしょうか。実はうつ病による感情の変化は、病気の症状によるものです。

そのため、適切な対応方法を知ることが、あなたと家族の心の健康を守るためにとても大切です。

この記事では、うつ病の家族がイライラして攻撃的になる原因対処法を解説します。うつ病の家族との関係をより良くするために役立てれば幸いです。

うつ病でイライラして攻撃的になる原因

うつ病の家族がイライラして攻撃的になる原因は、うつ思考とうつ行動が影響し合うためです。[1]

うつ思考とは、物事を必要以上にマイナスに考えてしまう状態です。たとえば「自分はダメな人間だ」「周りに迷惑をかけている」といった否定的な考えが強くなり、将来に対する希望も持てなくなります。

うつ行動では、日常生活での活動量が減少します。やるべきことがあっても身体が思うように動かずに先延ばしにしたり、周囲に助けを求められなくなったりするのです。

うつ思考とうつ行動が繰り返される悪循環に陥ると、本人も感情をコントロールできない苦しみや葛藤があらわれるため、イライラや攻撃的な言動が出るようになります。

こころちゃん
こころちゃん

うつ病という病気がイライラさせていると考えましょう

うつ病の家族によるイライラや攻撃的な言動への対処法

うつ病の家族によるイライラや攻撃的な言動への対処法には、次の3つがあります。

それぞれの対処法を見ていきましょう。

話をじっくりと聞く

うつ病の家族への対応で大切なのは、話をじっくりと聞くことです。

攻撃的になるのは、本人も感情をコントロールできない苦しみや葛藤があるためです。話をじっくりと聞くと、相手の感情や苦しみを理解できるようになるのです。

ただし「そんなことで悩まないで」「頑張れば治るよ」といった安易な励ましは逆効果となります。[2]頷きながら静かに話を聞き、安心できる環境を作りましょう。

家族が話したくなさそうなときは、無理に話を聞き出さないようにしてください。

家族から離れて見守る

家族のイライラや攻撃的な言動に対しては、適度な距離を保って見守ることが有効です。

常に一緒にいると、お互いのストレスが高まる可能性があります。ストレスが高まると、家族は余計にイライラして攻撃的になるでしょう。

たとえば別の部屋で過ごしたり、ひとりの時間を作ったりすれば、心の負担を減らせます。

家族はもちろん、あなたの心の健康を保つことも大切です。必要以上に関わろうとせず、サポートが必要なときにそっと手を差し伸べられる関係性を築いていきましょう

こころちゃん
こころちゃん

適度な距離感はお互いのためになります

うつ病は病気と理解する

うつ病による家族のイライラや攻撃的な態度は、本人の意思ではなく病気の症状によるものと理解しましょう。

うつ病は、脳にある神経伝達物質の機能が低下することで、感情のコントロールが難しくなる病気です。風邪で熱が出るのと同じように、本人の意思とは関係なく、イライラや攻撃的な言動が出てしまうのです。

イライラして攻撃的になるのは、人格や性格の問題ではありません
責めたり感情的になったりせず、冷静な対応を心がけましょう。

うつ病の家族を落ち着かせる言葉

うつ病の家族を落ち着かせる言葉には、次の3つがあります。

それぞれの言葉について説明します。

「一緒に乗り越えていこう」

うつ病の家族を落ち着かせる言葉のひとつは「一緒に乗り越えていこう」です。

この言葉を伝えると、ひとりで悩みを抱え込まなくていいという安心感を与えられます。たとえば「つらいときはいつでも話を聞くよ」「どんなときも味方だよ」といった言葉も添えると、さらに気持ちが伝わりやすくなります。

ただそばにいて支え続けるという気持ちを伝え、共に歩んでいく存在であると感じてもらいましょう。

「焦らずゆっくり治そうね」

うつ病の家族を落ち着かせる言葉には「焦らずゆっくり治そうね」があります。[2]

早く治してあげたいという気持ちが湧くかもしれませんが、家族にとってはプレッシャーになってしまう可能性もあります。この言葉をかけてあげれば「ゆっくりのペースでいいんだ」と気が楽になれるのです。

たとえば「少し眠れるようになったね」「外で散歩できるようになったね」など、小さな進歩を一緒に喜んであげましょう。

本人のペースを尊重することが大切です。焦らずゆっくりと回復の道のりを支えていく気持ちを言葉に込めてくださいね。

「あなたはそのままでいいんだよ」

「あなたはそのままでいいんだよ」は、うつ病の家族を落ち着かせる言葉のひとつです。

病気になることで自分を責めたり、周りに迷惑をかけていると感じたりする人もいるでしょう。この言葉をかけてもらうと、受け入れられていると安心できるようになるのです。

たとえば「無理して頑張らなくていいよ」「あなたの存在が大切なんだよ」といった言葉もかけてあげましょう。

大切なのは、家族のありのままの姿を認めることです。病気になったからといって何も変わらない、大切な存在であり続けると温かい言葉で伝えてみてください。

こころちゃん
こころちゃん

ありのままを受け入れてもらえると嬉しいですよね

うつ病の家族が利用できる相談窓口

うつ病の家族がイライラして攻撃的になり、ケアに悩んだら専門家に相談してみましょう。利用できる相談窓口には、次の4つがあります。

それぞれの相談窓口を説明します。

保健所

保健所は、地域の身近な相談窓口のひとつです。

心の健康に関する幅広い相談に対応しています。たとえば、家庭内でのイライラや攻撃的な言動への具体的な対処法、ひきこもりや不登校の問題など、さまざまな悩みを相談できます。

保健所の特徴は、医師や保健師などの専門家に相談できる点です。経験豊富な専門家からアドバイスを受けられます。

こちらからお近くの保健所を検索できるので、活用してみてください。

通院している病院

うつ病の家族がイライラして攻撃的になり、どうすればよいか悩んだら通院している病院に相談してみましょう。

病院に相談すれば、より専門的な視点からアドバイスを得られるようになります

たとえば、うつ病の症状への対処法や良好な関係を保つためのコミュニケーションなどを教えてもらえるのです。

病院にカウンセラーが常駐していたら、カウンセラーにも相談してみましょう。医師とは異なる視点からのアドバイスをもらえ、より総合的なサポートを受けられます。

精神保健福祉センター

うつ病の家族が利用できる相談窓口には、精神保健福祉センターがあります。

うつ病に関する相談はもちろん、精神医療全般についての相談に応じています。精神保健福祉センターは、保健所よりも精神保健に特化した機関なので、専門的な助言をもらえるのです。

また、地域の医療機関や支援施設の情報を得られます。必要に応じて紹介してもらえるため、安心して相談できます。

こちらからお近くの精神保健福祉センターを検索できるので、活用してみてください。

こころの健康相談統一ダイヤル

こころの健康相談統一ダイヤルは、うつ病の家族が利用できる相談窓口のひとつです。

各地域の公的な相談機関につながり、専門家に相談できます。たとえば、家族への対応で悩んでいるときや、病院に相談すべきか迷っているときなどに役立ちます。電話で相談できるため、気軽に利用できるのです。

こころの健康相談統一ダイヤルの特徴は、相談が無料かつ匿名でできる点です。ただし、相談できる時間は地域によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。

こちらからお近くの相談機関を検索できるので、活用してみてください。

まとめ

うつ病の家族がイライラや攻撃的になるのは、病気による症状が原因です。うつ思考とうつ行動の悪循環によってイライラを引き起こすため、本人の意思ではコントロールが難しい状態なのです。

家族への対応では、じっくりと話を聞き、適度な距離を保ちながら見守ることが大切です。「一緒に乗り越えていこう」「焦らずゆっくり治そうね」といった言葉で寄り添いましょう。

また、ひとりで抱え込まず、保健所や精神保健福祉センターなどの専門機関に相談することも検討してみてください。専門家のサポートを受けると、よりよい対応方法を見つけられますよ。

おおかみこころのクリニック

【参考文献】
[1]うつ病の認知療法・認知行動療法(患者さんのための資料)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/04.pdf

[2]ご家族にできること|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/families

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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