「気分が落ち込むことが増えたけど、病院に行くほどじゃないかも…」
「仕事にも行けてるし、きっと軽症のうつ病だろう」
このように、自分の状態がわからずモヤモヤしていませんか?
うつ病の重症度は「軽度・中等度・重度」に分けて考えられます。ただ、これはあくまで目安にすぎません。
大切なのは「今つらい」と感じたときに、早めに専門家へ相談することです。
この記事では、重症度チェックや各段階の症状、新しい治療法であるrTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)について解説します。
「もしかして…」と不安になったときに、次の行動を考えるきっかけになれば幸いです。
うつ病の重症度分類チェック
うつ病の重症度を判定するために、以下の質問に回答しましょう。[1]
- 1日中気分の落ち込みが続いている
- 活動への興味や喜びを失っている
- 食欲や体重が変化している
- 不眠または過眠がある
- 落ち着きがなくソワソワしたり動作が遅くなったりする
- 疲労感が強く気力が低下している
- 無価値感を抱いたり過剰な罪悪感を持ったりしている
- 集中力が低下したり決断が困難になったりしている
- 死について何度も考えたり自殺を計画したりしている
当てはまる数に応じて、以下のように重症度が分類されます。[1]
- 5項目未満:軽症
- 軽症と重症の中間:中等症
- 5項目をはるかに超えて満たす:重症
うつ病の重症度は医師の判断によって評価されるため、このセルフチェックはあくまでも目安です。
気になる症状をひとりで抱え込まずに、早めに医療機関へ相談しましょう。
【重症度分類別】軽度・中等度・重度の症状
うつ病の重症度は症状だけで判断されるものではなく、医師の診察によって総合的に判断されます。
軽度
軽度のうつ病は、生活に大きな支障はないものの「気分の落ち込みや疲れが続く」「これまで楽しめていたことが楽しめない」といった変化が見られる段階です。
抑うつ気分や興味や喜びの低下に加えて以下のような症状があらわれますが、生活への支障はそれほど大きくありません。[2]
- 食欲低下や体重減少
- 疲労感や気力の低下
- 睡眠障害(眠れない/寝すぎる)
- 自律神経症状(便秘、動悸、肩こり、めまいなど)
これらの症状によって、日常生活で「少しムリを感じる」「楽しめなくなる」といった支障が出ます。
ただ、苦労しながらも仕事や家事などの基本的なタスクはこなせるため、周囲から気づかれにくく、自分自身も「まだ大丈夫」と思ってしまうことが少なくありません。[3]
軽度の状態でも放置すると悪化する可能性があるため、気になる症状が続くときは早めの相談が大切です。
中等度
中等度のうつ病は、日常生活や人間関係、仕事に明らかな支障が出る段階です。
この段階では、抑うつ気分や喜びの喪失に加え、次のような症状がより強く複数同時に現れるケースが多くなります。[3]
- 自信や自尊心の低下
- 強い疲労感や気力の低下
- 食欲や睡眠の大きな乱れ
- 集中力の低下や判断の困難
- ネガティブな思考が繰り返し浮かぶ
その結果、生活や仕事に以下のような影響があらわれやすくなります。
- 友人との約束をキャンセルすることが増える
- 家族やパートナーとの関係がぎくしゃくする
- 仕事や学業に集中できず締め切りを守れなくなる
中等度のうつ病は「なんとか生活はできているけれど、支障が目に見えて増えている状態」です。
症状を放置すると重度に進行する可能性があるため、すぐに受診をして治療しましょう。

あなたが感じているつらさをそのまま先生に相談しましょう
重度
重度のうつ病は心身に大きな負担を与え、命の危険につながる可能性がある段階です。
絶望感や自殺念慮が強く出るケースも多く、早急な医療のサポートが必要となります。
この段階では、以下のような症状が複数かつ強く現れることが特徴です。[4]
- 強いイライラや不安が増加する
- 睡眠障害や食欲不振が悪化する
- 喜びや快感をまったく感じられない
- 強集中力の低下、思考や行動が極端に遅れる
- 強い絶望感を抱き生きる意味を感じられない
さらに危険な兆候として、以下が見られるケースもあります。
- 家族や友人との接触を絶つ
- 「生まれてこなければよかった」と発言する
- 自殺について繰り返し考える(または口にする)
- 身の回りを整理する(遺言書の作成、所有物の譲渡など)
- 自殺の手段を集める(薬をため込む、自殺方法を検索するなど)
重度のうつ病は、一刻も早い専門的なサポートが必要な状態です。
このような兆候が見られるときはすぐに医療機関へ相談し、安全を確保するため必要に応じて入院が検討されます。
重症度分類にとらわれず早めに受診しよう
うつ病の重症度分類はあくまで目安であるため、症状が続くときは早めの受診が大切です。
とくに軽度のうつ病は生活への支障が少ないため、本人も周囲も見逃しやすい傾向があります。
ただ、症状は短期間で中等度・重度に悪化することもあり、放置すると日常生活や仕事、命に関する危険が高まります。[1]
気になる症状が続くときには、重症度にかかわらず早めに相談しましょう。
ここからは、診断後に行われる代表的な治療法と、rTMSという選択肢についてご紹介します。

「こんなこと伝えていいのかな?」と悩まずに、なんでも相談してくださいね!
うつ病の治療とrTMSという選択肢
うつ病の代表的な治療法は以下のとおりです。
- 薬物療法:抗うつ薬などを用いて脳内の神経伝達物質のバランスをととのえる
- 心理療法:医師や臨床心理士などとの面談を通して考え方や行動のパターンを見直す
ただ、うつ病は症状の出方や生活への影響に個人差が大きいため、最初に試した治療が合わないこともあります。
そのため、診察を重ねて医師と相談し、あなたに合った治療法を探していくことが大切です。
治療を進める中で「薬が合わない」「副作用がつらい」と感じるときは、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)という治療法があります。
rTMSは磁気を用いて脳を刺激し、うつ病の症状をやわらげる治療法です。
おおかみこころのクリニックで実施するrTMSには以下のような特徴があります。
- 副作用が少ない
- 外来通院で受けられる
- 軽度のうつ病から相談可能
- 1回の治療時間が3~6分と短い
うつ病の治療は薬物療法や心理療法に加え、rTMSのような新しい選択肢もあることを知っておくと、不安がやわらぎ前向きに治療に取り組みやすくなるでしょう。
rTMSについてはおおかみこころのクリニックにお気軽にご相談ください。
まとめ
うつ病の重症度分類(軽度・中等度・重度)は、あなたの状態を知るための目安になりますが、明確な定義があるものではありません。
「軽度だから大丈夫」と思って放置してしまうと、症状が悪化する可能性があります。
うつ病の治療は薬物療法や心理療法が中心ですが、薬が合わない・副作用がつらいと感じるときは、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)という新しい選択肢もあります。
おおかみこころのクリニックのrTMSは、外来通院で短時間で受けられ副作用が少ないことが特徴です。
うつ病にお悩みのときは、おおかみこころのクリニックまでお気軽にご相談ください。
24時間予約受付中
おおかみこころのクリニック
【参考資料】
[1]日本うつ病学会|うつ病看護ガイドライン
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/guideline_kango_20220705.pdf
[2]Tomifusa KUBOKI,Masahiro HASHIZUME|Clinical Diagnosis and Treatment of Mild Depression
https://www.med.or.jp/english/activities/pdf/2011_02/076_080.pdf
[3]Lawrence Robinson|Depression Types|Major, Mild, Clinical Depression—and What Causes Them
https://www.helpguide.org/mental-health/depression/depression-types-causes-and-risk-factors
[4]Nancy Schimelpfening Symptoms of Severe Depression
https://www.verywellmind.com/what-are-the-signs-that-you-are-severely-depressed-1066883
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
精神科看護師としての経験を活かし、メンタルヘルスを中心とした記事を執筆。こころと身体のつながりを大切にしながら、そっと寄り添う文章を心がけています。
保有資格:看護師、保健師、上級心理カウンセラー、漢方養生指導士