「うつ病と診断されたけど、わたしが休んだら職場に迷惑がかかる…」
「収入がなくなるのが怖くて、仕事を休むなんて考えられない」
うつ病で心身がつらいのに「仕事を休めない」と感じるのは、責任感の強さや経済的な不安が背景にあるでしょう。
しかし、ひとりで抱え込んだままムリに働き続けると、かえって症状が悪化し回復が長引く可能性があります。
まずはあなたの状況を客観的に理解し、今すぐできる対処法を知ることから始めましょう。
この記事ではうつ病で仕事を休めないと考える理由や対策を解説します。今のつらい状況を乗り越えるためのヒントになれば幸いです。
うつ病で仕事を休めないと考える理由
うつ病の診断を受けても仕事を休めないと考える理由には、次の2つがあります。
- 経済的な不安
- 心理的なプレッシャー
休職によって収入が途絶え、治療費や生活費を支払えなくなることへの不安は、ムリして働き続けるきっかけとなります。
また「わたしが休むと周囲に迷惑がかかる」という責任感や「精神的な問題で休むのは甘えではないか」という罪悪感も、休むのをためらう原因となるのです。
こうした要因が複雑に絡み合い「うつ病で仕事を休めない」と抱え込んでしまうのです。

心配で「休めない」って思っちゃいますよね💦
うつ病は仕事しながら克服できるのか
うつ病は仕事をしながらでも克服できるケースがあります。
たとえば、症状が比較的軽いときや回復期にあるときです。
仕事をしながらうつ病を克服するためには、職場環境の調整や医師との連携が必要です。
まずは会社に相談し、下記のような調整ができるか検討してみましょう。[1]
- 残業しない
- 業務量を減らす
- ストレスの少ない部署へ異動する
自己判断で「もう大丈夫」と仕事を続けるのではなく、必ず医師に相談し指示を守ってください。仕事をしながらでもできるうつ病の治療には、下記のものがあります。
- 薬物療法
- 心理療法
- rTMS療法(反復経頭蓋磁気刺激法)
医師と相談しながらあなたに合う治療計画を立て、仕事との両立が可能かどうかを慎重に判断しましょう。
下記の記事ではrTMS療法に方法や対象者など詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
うつ病で仕事を休めないときの対策
うつ病で仕事を休めないときの対策を3つ紹介します。
どうしても仕事を休めない状況にあるときは、ひとりで抱え込まずに周囲の理解や協力を得ながら負担を減らしましょう。
上司に相談する
まずは直属の上司に相談し、あなたの状況を正直に伝えましょう。
上司に伝える際には診断書を提示し、現在の症状や業務上に必要な配慮を説明すると上司も対応しやすくなります。
また「他の社員に病気のことを知られたくない」という不安がもあるでしょう。
会社には従業員のプライバシーを守る責任があるため、あなたの許可なく病気について他の従業員に話すことはありません。
それでも不安なときは「他の社員に知られたくない」という旨を事前に上司に伝えておくと、安心して相談できます。
業務内容を調整する
上司に現状を理解してもらえたら、心身の負担を減らすために業務内容の調整をお願いしましょう。
うつ病の治療をしながら仕事を続けるためには、心身のエネルギーを消耗しない環境をつくることが必要です。
たとえば、業務量を減らしてもらったり、プレッシャーのかかるプロジェクトから外してもらったりしましょう。
また、顧客対応や部署間の調整など対人関係のストレスが大きい業務から、ひとりで集中できる事務作業に変更してもらう調整もあります。
あなたの状態を正直に伝え、ムリのない範囲で働けるよう会社に協力を求めましょう。

思いきって相談してみましょう!
生活リズムを見直す
生活リズムを見直すことは、心身の回復力につながります。
うつ病になると、寝つきの悪さや食欲不振があらわれます。まずは、毎日同じ時間に起きて寝ることを心がけ、生活リズムをととのえましょう。
とくに、朝に太陽の光を浴びることは、精神を安定させる「セロトニン」の分泌を促すと言われています。
日光を浴びない生活はセロトニンの減少を招き、うつ病の悪化につながるのです。[2]
日中の軽い散歩やバランスの取れた食事を意識し、少しずつでも生活習慣を見直すことで回復力を後押ししてくれます。
うつ病で休めないときに利用できるお金の制度
うつ病で仕事を休めないときに利用できるお金の制度には、次の3つがあります。
うつ病による休職や通院は経済的な負担がかかるため、利用できる制度は積極的に活用しましょう。
傷病手当金
傷病手当金は、病気やケガで会社を休んだときにあなたと家族の生活を支えるための制度です。[3]
業務外の病気やケガのために働けず、会社から十分な給与が受けられないときに支給されます。次の条件を満たせば、傷病手当金の支給対象となります。
- 業務外の病気やケガで休んでいる
- 連続して3日間休み4日目以降も会社を休んでいる
- 医師から「仕事ができる状態ではない」と診断されている
支給額はこれまでの給与の約3分の2が目安となり、支給期間は最長で1年半です。
申請手続きは、会社の担当部署や加入している健康保険組合を通じて行います。まずは人事や総務の担当者に相談しましょう。
自立支援医療制度
自立支援医療制度は、うつ病や双極性障害などの精神疾患の治療で通院している人の負担を減らす制度です。
医療保険による自己負担は3割ですが、自立支援医療制度を利用すると原則1割まで減ります。
精神疾患の治療をしている人が申請でき、通院にかかる診察費や薬代、デイケアなどの費用が対象です。[4]
所得に応じて1か月あたりの自己負担額に上限があるため「今月は通院回数が増えてしまった」というときも、月の支払いが上限額を超えることはありません。
長期的な通院が必要でも、経済的な負担を抑えながら治療に専念しやすくなります。
申請は、お住まいの市区町村の担当窓口で行います。申請には医師の診断書が必要になるため、まずはかかりつけの医療機関に相談しましょう。
生活困窮者自立支援制度
生活困窮者自立支援制度は、経済的な問題で生活できなくなる恐れのある人へ向けた制度です。
特徴はお金の問題だけでなく、仕事や住まいに関する困りごとも含め幅広く相談できる点です。[5]
全国の自治体に設置された相談支援窓口で、専門の支援員が一人ひとりの状況に合わせた支援プランを作成してくれます。
たとえば、下記のようなサポートがあります。
- 家計の立て直しに関するアドバイス
- 住居を失う恐れがある際の給付金の案内
- ハローワークと連携した仕事探しのサポート
お金や住まいなどの問題が絡み合って「もうなにから手をつけていいか分からない」と感じたときに、頼れる相談先となるのです。
まとめ
「うつ病で仕事は休めない」と考えてしまうと、症状の回復を遅らせてしまう可能性があります。
休めないと感じる背景には、責任感や経済的な不安などさまざまな理由がありますが、まずはあなたのこころと身体を大切にしてください。
どうしても休めないときは、上司への相談や業務調整など心身への負担を減らすことが求められます。
また、傷病手当金や自立支援医療制度などの支援制度も活用しましょう。
治療を受けながら、あなたにとってよい働き方や休み方を見つけてください。おおかみこころのクリニックでは診断書を即日発行できます。夜22時まで毎日診察していますので、お気軽にお問い合わせください。
24時間予約受付中
おおかみこころのクリニック
【参考文献】
[1]3 うつ病の治療と予後:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad003
[2]睡眠やメンタルヘルスに深く関わる「生体リズム」|立教大学
https://www.rikkyo.ac.jp/closeup/research-n-faculty/2022/mknpps0000020yag.html
[3]病気やケガで会社を休んだとき|全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139
[4]自立支援医療における患者負担の基本的な枠組み|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001507767.pdf
[5]知りたい|困窮者支援情報共有サイト〜みんなつながるネットワーク〜