うつ病が治らないのは性格のせい?考えられる理由や付き合い方も解説










「うつ病が治らないのは、わたしの真面目な性格のせいだ」

「性格を変えないとうつ病はよくならないのかな」

治療を続けても症状が軽くならないとあなた自身を責めてしまい、将来に不安を感じるでしょう。

うつ病が治りにくいのは、性格だけが原因ではありません

たとえば、薬が合っていなかったり、ストレスの多い環境にいたりするなど、複数の理由が考えられます。

原因を知らないままあなた自身を責め続けてしまうと、回復が遅れたり症状が悪化したりするかもしれません。

この記事では、うつ病が治らないときに考えられる理由や、あなたの性格との上手な付き合い方を解説します。自身を責めるつらさから抜け出し、回復に近づくきっかけとして役立てていただければ幸いです。

うつ病が治らないのは性格のせいだけではない

うつ病の発症には性格もひとつの原因と考えられていますが、それだけがすべてではありません。

たとえば、うつ病が発症する原因には下記のものがあります。[1]

  • 遺伝的要因:親族にうつ病を発症した人がいる
  • 慢性疾患:がんや糖尿病などの身体的な病気を併発している
  • 環境的要因:人間関係のトラブルや死別などの環境の変化がある

ほかにも、治療が適切でなかったり、生活習慣が乱れていたりする可能性もあります。

うつ病は脳に不調が起きている状態で、誰でも発症する可能性のある病気ですあなた自身を責めすぎず、まずはうつ病が治りにくい原因を正しく知りましょう。

下記の記事ではうつになりやすい人の特徴を解説しているので、詳しく知りたいときは参考にしてください。

うつ病が治らないときに考えられる理由

うつ病の治療を続けていても治らないときには、性格のほかに3つの理由が考えられます。

あなたの状況に当てはまるものがないか、それぞれ見ていきましょう。

薬が合っていない

うつ病が治らないときは、処方された薬があなたの身体に合っていない可能性があります

抗うつ薬にはたくさんの種類があり、どの薬がどのくらい効くかには個人差があるからです。

現在の薬の効果に不安があるときは「日中の眠気がつらい」「気分の落ち込みがあまりよくならない」と感じていることを具体的に主治医へ伝えてください。

医師に相談して、薬の量を調整したり違う種類の薬を試したりするなど、あなたに合う処方を見つけることが回復につながります

ただし、自己判断で薬の服用をやめてしまうと症状が悪化するおそれがあるため、必ず医師の指示を守りましょう。

こころちゃん
こころちゃん

薬について心配なことは先生に相談しましょう!

別の病気を併発している

うつ病が治らないときは、別の病気が隠れているケースがあります。うつ病と他の病気が併存していると、うつ病の症状が治りにくくなるのです。

カナダで行われた研究では、うつ病との合併率が多い病気に下記のものが報告されています。[2]

  1. 脳卒中(16%)
  2. 冠動脈疾患(10%)
  3. 2型糖尿病(9%)

身体のつらさが続くこと自体がストレスになったり、社会的な孤立に関係したりするため、うつ病の回復を妨げている可能性が考えられます。

気になる身体の症状があるときは主治医に伝え、必要であれば内科や脳神経外科などの受診も検討しましょう。

ストレスの多い環境にいる

ストレスの多い環境は、うつ病の回復を妨げます。

うつ病の治療において休養は基本ですが、根本的なストレス要因がなくならなければ症状はやわらぎません

たとえば、職場の人間関係や労働環境にストレスを抱えていると、気づかないうちに大きな負担になってしまいます。

治療によって一時的に症状がやわらいでも、ストレスの多い環境に戻ると再び症状が悪化する可能性もあるのです。

「仕事や家族のことは簡単には変えられない」と思うかもしれません。

ただし、ストレスの原因を整理し、負担を減らす方法を探ることはできます。

環境の調整ができるかどうか、信頼できる人や医師と一緒に考えてみましょう。

こころちゃん
こころちゃん

ストレスが多いとつらい~~💦
なにがストレスか先生やカウンセラーと話して原因を探してみましょう!

あなたの性格との上手な付き合い方

あなたの性格との上手な付き合い方を3つ紹介します。

付き合い方を少し意識することで、こころの負担を軽くしましょう。

自身の性格を理解する

まずは、あなたの性格を客観的に理解しましょう

性格を「変えられないもの」として諦めるのではなく「理解して対処法を見つけるもの」として捉え直すきっかけになるからです。

うつ病になりやすい性格には、次のものが挙げられます。[1][3]

  • 責任感が強い
  • 他人への配慮ができる
  • 真面目で完璧主義である

たとえば「何事も完璧にこなさなければならない」という考えが強いと、物事がうまくいかないときに自身を責めがちです。

責める気持ちが湧いてきたときに「完璧主義の部分が出てきたな」と気づいてあげましょう。その気づきが、考え方の幅を広げるきっかけになります。

下記の記事では完璧主義とうつの関係を詳しく解説しているので、参考にしてください。

周囲との境界線を作る

周囲との境界線を作ることは、性格との上手な付き合い方のひとつです。

他人の気持ちに共感しやすいと相手の問題まで自分のことのように感じ、疲れてしまう傾向があるからです。

「これはわたしの気持ちだろうか、それとも相手の問題だろうか」と、一度立ち止まって考えることを意識しましょう

周囲との境界線を作ることで、無意識に他人の感情や問題を背負い込むのを避けられます。

あなたのこころを守って元気に過ごすことで、結果的に周囲とのよい関係にもつながるのです。

ひとりで悩みを抱えようとしない

悩みはひとりで抱え込まず、誰かに相談して溜め込まないようにしましょう

社会的な孤立は、抑うつ症状を悪化させる要因のひとつとされているからです。筑波大学の研究によると、主観的に感じる社会的な孤立が抑うつ症状と関連すると報告されています。[4]

つらいときや苦しいときに、ひとりで解決しようとすると、視野が狭くなり、ますます落ち込んでしまうかもしれません。

信頼できる家族や友人、あるいは主治医やカウンセラーなど、あなたの悩みを安心して話せる相手を見つけましょう。

言葉にして誰かに聞いてもらうだけで絡まっていた思考が整理され、こころが軽くなります。

おおかみこころのクリニックでは、自宅から相談できるオンライン診療も行っています。ひとりで抱え込まずに、わたしたちに相談してください。

当日予約・自宅で薬の受け取り可能

うつ病が治らないときの治療法

うつ病の治療はすぐに終わるわけではなく、よくなったり悪くなったりを繰り返しながら、少しずつ回復に向かうのが一般的です。

うつ病の治療期間は、大きく分けて急性期・回復期・再発予防期の3つに分類されます。

「急性期」は十分な休養をとりながら、薬物療法を中心に症状の緩和を目指す時期です。症状が安定してくる「回復期」や健やかな状態を維持する「再発予防期」では、薬物療法とあわせて心理療法やカウンセリングなどが行われます。[5]

治療法には、具体的に下記のものがあります。[6]

  • 薬物療法
  • 森田療法
  • rTMS療法
  • 認知行動療法
  • 支持的精神療法

今の治療で感じていることや不安な点を主治医に伝え、あなたに合う治療法を一緒に探してください。焦らずに1歩ずつ治療に取り組んでいきましょう。

おおかみこころのクリニックではrTMS療法も行っています。詳しくは下記の記事をご覧ください。

うつ病は一生付き合う病気ではない

うつ病は一生付き合う病気ではありません。適切な治療を続けることで、回復が見込める病気です。

治療の過程では症状がよくなったり悪くなったりと、小さな波を経験することがあります。この波を乗り越えながら、ゆっくりと症状がやわらいでいくのです。

症状がよくならないと「このまま治らないのではないか」と不安になるかもしれません。

ただ、うつ病を発症しても多くの人は寛解状態を迎えられると言われています。[5]

主治医を信じて治療を続け、少しずつ前に進んでいきましょう。

うつ病とうまく付き合う方法を詳しく知りたいときは、下記の記事を参考にしてください。

まとめ

うつ病が治らないのは、性格だけが原因ではありません。薬との相性やストレスの多い環境など、回復を妨げている原因はほかにも考えられるのです。

まずは、あなたの性格の特徴を理解したり、周囲との境界線を意識したりすることでこころの負担を軽くしましょう

おおかみこころのクリニックでは、オンライン診療を実施しています。

朝8時から夜24時まで対応しているので、仕事や家事で忙しい人でも自宅から受診できます。ひとりで抱え込む前に、ぜひオンライン診療をご活用ください。

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【参考文献】
[1]2 うつ病の主な症状と原因:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad002

[2]うつ病の除外診断と併存疾患,竹内武昭
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/60/1/60_44/_pdf

[3]2.うつ病の病前性格・心因・状況因,坂元薫
https://jams.med.or.jp/event/doc/129015.pdf

[4]社会的孤立を自覚し孤独を感じることが抑うつ症状を高める|TSUKUBA JOURNAL
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20240425030000.html

[5]3 うつ病の治療と予後:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad003

[6]うつ病|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=9D2BdBaF8nGgVLbL

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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