「うつ病の末期症状には、どのような状態なのかな?」
「今のわたしの症状は、末期症状にあてはまる?」
「うつ病の末期症状」と呼ばれる状態は、医学的には「重度」のうつ病を指します。うつ病は、治療を受けずにいたり休息が不足したりすると、重度のうつ病に進行する可能性があるのです。
うつ病の末期症状をそのままにしておくと回復が長引くだけでなく、社会生活への復帰が難しくなるでしょう。うつ病の状態や症状をやわらげる方法を知り、回復につなげることが大切です。
この記事では、うつ病の末期症状やセルフチェックを紹介します。あなたの状態を客観的に把握し、適切な対処法を見つけるきっかけとなれば幸いです。
うつ病の末期症状
一般的に「末期症状」と呼ばれている状態は「重度のうつ病」の症状を指します。重度のうつ病で見られる症状には、次の3つがあります。
症状にあてはまるからといって、あきらめる必要はありません。まずは医師に相談し、治療につなげていきましょう。
希死念慮がある
うつ病の末期症状では、希死念慮(きしねんりょ)があらわれることがあります。
希死念慮には「死にたい」「消えてなくなりたい」という思いがありますが、必ずしも死を希望しているわけではありません。
中には「楽になりたい」「ずっと何もせず眠っていたい」という考えも含まれています。[2]
厚生労働省の調査でも、うつ病が重症化すると希死念慮を抱きやすい傾向が示されています。[3]
希死念慮はあなたの意思の弱さではなく、病気の症状によるものです。もしこのような考えが浮かぶときはすぐに医療機関に相談したり、厚生労働省の相談窓口へ連絡をしましょう。
おおかみこころのクリニックでは、自宅から受診できるオンライン診療も行っています。外に出ることがつらいときでも受診しやすいため、お気軽にご活用ください。
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部屋に引きこもる
うつ病の末期症状では、部屋に引きこもるケースがあります。
気力や意欲が下がり、外出するエネルギーがなくなるためです。精神疾患を発症していると不安や恐怖から人と会うのが難しくなり、結果として引きこもってしまうとされています。[4]
たとえば「外に出なければならない」とわかっていても、身体を動かせない状態になるのです。また、人と話すこと自体に恐怖を感じ、部屋から出られなくなるケースもあります。
ムリに外出しようとせず、まずはあなたが落ち着く環境で休息をとることを優先しましょう。

ゆっくり休んで「外に出てみようかな?」と思えたら出てみましょう
眠れる時間が短くなる
うつ病の末期症状になると、眠れる時間が短くなります。
不眠はうつ病の代表的な症状のひとつです。具体的には、下記のパターンで睡眠時間が短くなります。
- 入眠障害:寝つきが悪い
- 中途覚醒:夜中に何度も目が覚める
- 早朝覚醒:朝早く目が覚めてしまう
厚生労働省の調査では睡眠障害の程度が重いほど、うつ病の重症度も上がると報告されています。[5]
質のよい睡眠がとれないと日中の活動に支障が出るだけでなく、心身の回復も妨げられます。睡眠の問題が続くときは主治医に相談し、適切な対処法を検討しましょう。
うつ病を悪化させる原因
うつ病を悪化させる原因には、おもに次の3つがあります。
- 休息が取れていない
- 薬を飲むのを止めてしまう
- ストレスが溜まり続けている
うつ病の治療には十分な休息が必要です。仕事や家事の負担が減らず心身のエネルギーが不足した状態では、治療効果が得られにくくなります。[1]
また、自己判断で服薬を止めると、うつ病の症状が再発する恐れがあります。症状がよくなったと感じても、脳や身体の状態は安定していないのです。
さらに、ストレスが溜まり続けることもうつ病の症状を悪化させます。ストレスの原因から距離を置き、環境を調整することが必要です。
ひとりでの対策が難しいときは、医師やカウンセラーなどの専門家と相談しましょう。
おおかみこころのクリニックでは、オンライン診療も行っています。外出がむずかしいときや、忙しくて通院の時間がとりにくいときでも、ご自宅から安心して診察ができます。
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重度のうつ病セルフチェック
あなたの状態が重度のうつ病にあてはまるか不安なときは、下記のセルフチェックを使ってみましょう。[6]
- 食欲が減る、もしくは増える
- 自分には価値がないと感じる
- 悲しい憂うつな気分が1日中続く
- 心身が疲れやすく、やる気が出ない
- 集中力がなくなり、物事が決断できない
- 寝つけなかったり途中で目が覚めたりする
- イライラしたり、怒りっぽくなったりする
- 以前は楽しめていたことに興味が持てなくなった
- 「死にたい」「消えてなくなりたい」と考えることがある
7や9を含む5つ以上の項目が2週間以上続いていたら、重度のうつ病の可能性があります。
ただし、簡易的なセルフチェックであるため、医学的な診断ではありません。気になる症状が続くときは主治医に相談してください。

診断されるには受診が必要です。
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うつ病の末期症状から回復する方法
うつ病の末期症状から回復する方法には、次の3つがあります。
適切なアプローチを続ければ、末期症状からの回復が期待できます。回復のためには治療を受けるのはもちろん、あなたの生活環境をととのえることも大切です。
治療を継続する
うつ病の末期症状から回復するためにはまず病院を受診し、医師の指示のもと治療を継続しましょう。
うつ病の治療では、薬物療法と心理療法がおこなわれます。薬物療法では、脳内の神経伝達物質のバランスをととのえる薬が用いられます。とくに重症のうつ病では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)よりも三環系抗うつ薬の方が有効です。[7]
また、心理療法のひとつである認知行動療法では、物事のとらえ方を見直したり、ストレスへの対処法を学んだりします。
自己判断で中断せず、根気強く治療を続けましょう。
薬を飲んでも症状がやわらがないと感じたときは、下記の記事も参考にしてください。
規則正しい生活を送る
規則正しい生活を送ることは、うつ病からの回復を助ける方法です。
毎日同じ時間に起床し、同じ時間に就寝するよう心がけましょう。規則正しい睡眠習慣は、乱れた体内時計を戻すのに役立ちます。起きてから日光を浴びる習慣も、体内時計をリセットするのに有効です。[8]
また、栄養バランスの取れた食事を、できるだけ1日3食とるようにしてください。適切な量と質の食事は、心身の健康を保つためにも必要です。[9]
ただし、症状が重いときにムリに運動しようとすると、かえって心身のエネルギーを消耗してしまう恐れがあります。[10]まずは睡眠や食事を優先し、運動については主治医と相談しながら判断しましょう。
心身を休ませる環境をつくる
うつ病を回復させるためには、心身をしっかりと休ませる環境をつくりましょう。
うつ病治療で大切なのは、心身の休養です。[1]
ストレスの原因から離れ、安心して休息できる場所を確保しなければ、治療効果が得られにくいためです。
たとえば、仕事が大きな負担になっているときは、休職を考えてください。家事が負担であれば家族や友人の協力をお願いしたり、家事代行サービスなどを利用したりする方法もあります。
ひとりで抱え込まず周囲のサポートを得ながら、回復に専念できる環境をつくりましょう。
まとめ
うつ病の末期症状では、希死念慮があらわれたり引きこもりがちになったりする傾向が見られます。
回復するためには治療を継続したり、心身を休ませる環境をつくったりしましょう。
あなたの状態がうつ病の末期症状なのか不安なときは、この記事で紹介したセルフチェック項目を参考にしてください。ただし、あくまで目安であるため、正確な診断は病院で行いましょう。
おおかみこころのクリニックでは、自宅から受診できるオンライン診療を実施しています。朝8時~夜24時まで開院しており、予約が空いていれば当日の受診も可能です。少しでも気になる症状があるときはひとりで抱え込まず、お気軽にご相談ください。
24時間予約受付中
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【参考文献】
[1]3 うつ病の治療と予後:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad003
[2]希死念慮:用語解説|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1534
[3]不明、職につくことへの不安、うつ状態の悪化、幻聴|厚生労働科学研究成果データベース
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2003/000242/200300106A/200300106A0010.pdf
[4]「ひきこもり」対応ガイドライン(最終版)の作成・通知について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/2003/07/tp0728-1b.html
[5]睡眠問題とうつ病に関する研究|厚生労働科学研究成果データベース
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2007/073051/200722001B/200722001B0004.pdf
[6]うつ病|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html
[7]井上猛先生に「抗うつ薬とうつ病の治療法」を訊く|公益社団法人 日本精神神経学会
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=38
[8]健康づくりのための睡眠ガイド2023|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
[9]適切な量と質の食事|とうきょう健康ステーション
https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/kensui/ei_syo/index.html
[10]運動によるうつ病・うつ状態の予防に関する基礎知識|健康・体力づくり事業財団
https://www.health-net.or.jp/etc/pdf/utsu.pdf









