「気分の落ち込みが強くて生活や仕事に支障が出ている」
「生活と両立しながら治すことってできるのかな?」
中等度のうつ病は軽度に比べて症状が多く、つらさも強くなり日常生活や人間関係、仕事に支障が出やすい段階です。
ただ、適切な治療やサポートを受けることで回復を目指すことは十分に可能です。
この記事では、中等度のうつ病の治療法や生活と両立しながら治療する方法についても解説します。
治し方の選択肢を知り、あなたにあった治療を考えるきっかけになれば幸いです。
中等度うつ病の直し方
中等度のうつ病は、軽度のうつ病と比べてより専門的な治療の必要性が高くなります。[1]
ここでは、代表的な治し方として次の3つを解説します。
順番に見ていきましょう。
中等度のうつ病がどのような状態か知りたいときは、こちらの記事をあわせてご覧ください。
薬物療法で症状をやわらげる
薬物療法では、気分の落ち込みや不安などの症状に対して以下のような薬を使い、回復をサポートします。
- 抗うつ薬
- 抗不安薬
- 睡眠導入剤
うつ病は脳内の神経伝達物質のバランスが乱れることで起こるため、薬によってその働きをととのえつらさをやわらげることを目指すのです。
抗うつ薬は効果が現れるまでに数週間かかるとされるため、眠気やだるさなどの副作用が先に出るケースがあります。
仕事や生活に影響を感じることもありますが、医師と相談しながら調整することで続けやすくなるでしょう。
心理療法で考え方のクセをととのえる
心理療法は、考え方や行動のクセを見直しながら、気持ちを楽にすることを目指す治療法です。
うつ病は「わたしはダメだ」「どうせうまくいかない」といった思考の偏りが強くなり、気分の落ち込みを悪化させるケースが少なくありません。
心理療法ではこうした思考パターンに気づき、より現実的で柔軟な考え方に切り替えられるようサポートします。
とくに認知行動療法は、中等度のうつ病に対して有効性が報告されている心理療法です。[1]
認知行動療法とは、思考(認知)のゆがみや偏りに気づき、現実的な考え方に少しずつ修正していく方法です。
たとえば「わたしは失敗ばかりする」といった極端な考えを「失敗もあるけど成功もある」と柔軟に捉え治す練習をしていきます。
心理療法は1回で効果が出るものではないため、医師や臨床心理士と継続的に取り組みましょう。

何回も繰り返し行い、ストレスを溜めにくい考え方を目指しましょう
家族や職場などの環境を調整する
中等度のうつ病では、薬や心理療法だけでなく、生活環境や人間関係をととのえることも大切です。
うつ病は、生活の負担や周囲の理解不足によっても悪化しやすいため、本人がムリをしすぎない環境づくりが欠かせません。
具体例として、以下が挙げられます。
- 休職制度を活用して治療に専念する
- 職場での配慮(時短勤務、在宅勤務、業務量の調整など)を受ける
- 家族に病気への理解を深めてもらい、家事や育児を一部サポートしてもらう
本人の努力だけで回復を目指すのではなく、家族や職場、社会が協力し合い治療しやすい環境を作ることが必要です。
生活と両立しながらできる中等度のうつ病の直し方
生活と両立しながらできるうつ病の治し方を、以下に分けて解説します。
ひとつずつ見ていきましょう。
仕事との両立ができるケース
症状が安定していれば、仕事を続けながらの治療も可能です。
中等度のうつ病であっても、生活リズムや社会とのつながりを保つことが回復の助けになる場合があります。
時短勤務や在宅勤務を取り入れたり業務量を調整したりするなど、ムリをしない工夫が欠かせません。
また、仕事をしながら受けられる治療法のひとつに、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)という方法があります。
rTMSは磁気を用いて脳を刺激することで、うつ病の症状をやわらげることをめざす治療法です。
うつ病は「中等度だから必ず休むべき」「必ず働ける」という決まりはありません。
症状の波を見ながら、主治医と相談しつつ働き方を調整することが大切です。
家族や周囲のサポートを得ながら治療するケース
うつ病は、家族や周囲のサポートを得ながら治療を続けることが大切です。
例として、以下が挙げられます。
- 家事や育児を家族にサポートしてもらう
- 仕事を一時的に減らすことを家族に理解してもらう
- 訪問看護やカウンセリングなどのサービスを利用する
仕事や育児・家事をひとりで背負うと回復が遅れるため、周囲の協力を得ることで安心して回復に向かう環境がととのうでしょう。
サポートを受けることは弱さではなく、回復に必要な治療の一部です。
ムリせず小さなお願いから周囲に伝えることが、あなたと家族の安心につながっていくでしょう。

ひとりで頑張らずに協力してもらうことも大切です!
中等度のうつ病で入院が必要になるケース
中等度のうつ病は外来で治療が可能ですが、以下の状態のときは入院が検討されることがあります。[2]
- 強い自殺願望がある
- 薬をきちんと飲めていない
- 周囲の支援だけでは安全が確保できない
- 食事や水分がとれず体力の低下が著しい
- 人間関係や社会生活に深刻な影響が出ている
「中等度だから必ず入院」という定義はなく、症状や環境に応じて医師が入院の必要性を判断します。
大切なのは、安全に治療を続けられる環境をととのえ、あなたや家族が安心して治療に取り組めることです。
通院で受けられる「rTMS」といううつ病の治療法
rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)は磁気を用いて脳を刺激することで、うつ病の症状を軽減することが期待されている治療法です。
おおかみこころのクリニックはrTMSのひとつであるiTBSを用いているため、以下のような特徴があります。
- 1回の施術が3~6分程度と短時間
- 外来通院で行えるため仕事や家庭と両立しやすい
保険診療のrTMSは中等度以上が対象ですが、自由診療を行う当院では症状や状況に応じて治療の適応が検討できることがあります。
「薬以外の選択肢を知りたい」「副作用が気になる」という方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
24時間予約受付中
おおかみこころのクリニック
中等度のうつ病は早めの相談と継続的な治療が大切
中等度のうつ病は、症状により生活や仕事に影響が出やすい段階です。
薬物療法や心理療法、環境の工夫を組み合わせることで回復を目指すことができます。
症状が安定していれば仕事と治療を両立できるケースもあるため、家族や周囲の理解を得ることで安心して治療を続けやすくなるでしょう。
薬が合わない場合や副作用が気になるときは、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)という治療法が選択できるケースがあります。
治療の方法は一人ひとり異なるため、まずはおおかみこころのクリニックにお気軽にお問い合わせください。
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おおかみこころのクリニック
【参考資料】
[1]日本うつ病学会|うつ病看護ガイドライン
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/guideline_kango_20220705.pdf
[2]日本うつ病学会治療ガイドライン
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/20190724.pdf
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
精神科看護師としての経験を活かし、メンタルヘルスを中心とした記事を執筆。こころと身体のつながりを大切にしながら、そっと寄り添う文章を心がけています。
保有資格:看護師、保健師、上級心理カウンセラー、漢方養生指導士