うつ病の症状が少しずつ改善してくると、復職について考える時期になります。
しかし、いざその段階になると「復職するのが怖い」と感じてしまうのではないでしょうか?
その気持ちの裏側には「以前と同じように働けるのか」「再発したらどうしよう」という不安が隠れていることが多いです。
うつ病からの復職において最も大切なことは、焦らず無理をしないことです。
あなただけが不安を抱えているわけではありませんよ。
この記事では、再発リスクを減らせる復職までの準備や、復帰後の働き方をていねいに解説します。ぜひ参考にしてくださいね。
下記の記事では、うつ病の休職中の過ごし方や職場復帰に向けての心構えを紹介しています。合せてご覧ください。
復職するまでの流れ
まずは、復職までの流れを解説します。
うつ病で休職したときに一番気になるのが「いつまでに復職しなければいけないか」「どの程度まで回復すれば、復職を考えるのか」ということでしょう。
ここでは、復職を検討する目安や手順を説明します。
復職に向けた手続きについては、それぞれの職場や症状によって異なるため、その指示に従ってくださいね。
復職を検討する
うつ病で休職中に復職を検討する目安は、うつ病の症状が落ち着いていることに加え、日常生活が問題なく送れるようになっていることです。
朝起床し、食事が取れて、身支度や外出ができたり、夜もきちんと眠れるという基本的な生活ができていること。それに加えて、趣味や娯楽など本来の興味関心が回復しているかどうかも重要になります。
また、パソコン作業や読書など仕事に近い活動ができたり、周囲と問題なくコミュニケーションが取れたりすることも必要です。
調子がよい日と悪い日があってもその波が安定し、悪い日でも出社できる程度の状態になっていれば復職を検討してもよいでしょう。
しかし、復職のことを考えるたびにしんどさを感じるのであれば、まだその時期ではないかもしれません。
判断が難しければ、主治医に相談してみましょう。
「まだ復職を検討する段階ではないですよ」と教えてもらえれば、安心して休養できますね。
病状の判断が自分では難しいのも症状のひとつです。
先生に気軽に相談してみましょう。
復職の意志を明確にする
体調が安定して仕事への意欲が戻り、主治医からも復職を考えてよいと言われれば、復職の意志を明確にしましょう。
自分の意志がない状態で復職すると「こんなはずじゃなかった」と誰かを責めたり、相手との関係が悪くなったりする恐れがあります。
また、周りに迷惑をかけているから、と焦って復職しないことも大切です。
復職後に継続して働き続けられるか、も踏まえたうえで決めてくださいね。
主治医や職場が職場復帰可否を判断する
復職の意志が明確になれば、主治医や職場に復職の希望を伝えます。
職場復帰の可否を判断され認められれば、復帰に向けた手続きにうつります。
このときの「復職可否の判断基準」が、主治医と職場の産業医などによって異なる点に注意しましょう。
- 主治医:日常生活での回復具合を見て判断
- 職場:産業医などが本人の意思や、実際の業務ができる状態かどうかを判断
どちらからも許可が出れば、復職に向けた具体的な話し合いが進められます。
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再発リスクを減らすための復職準備3選
実際に復職するとなると「再発しないかどうか」も心配ですよね。
ここでは、再発リスクを減らすための復職準備を3つご紹介します。
ご自身の生活に取り入れていただき、少しでも不安を減らして復職の日を迎えてくださいね。
生活リズムを整える
まずは、生活リズムを整えましょう。
起床・睡眠時間を一定に保ったり、栄養バランスを考えた食事をとったりすることが大切です。
とくに睡眠の質の低下や不眠は、うつ病の症状を悪化させる恐れがあります。
復職後と同じ生活リズムで睡眠や食事をとれば、無理のない生活が送れるかどうか、の確認もできますよ。
「体調が良くなったから、少しくらい平気だろう」と無茶をしないでくださいね。
職場復帰のための制度を活用する
いざ復職となると、以前のように仕事ができるかどうかも不安ですよね。
復職後に、以前と同じ働き方ができるとは限りません。
とくに復職直後は休んでいる期間とのギャップも大きく、身体への負担が大きいでしょう。
多くの職場では職場復帰をサポートする制度が整えられています。
たとえば、下記のようなサポートが挙げられます。
- 「リワークプログラム」休職者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーションを実施するプログラム
- 「試し出勤制度」正式な職場復帰の前に、少しずつ職場へ出向き復職の準備をする社内制度
- 「労働時間の配慮」復職後の労働負荷を軽減し、段階的に仕事へ戻れるような配慮
活用できる制度はないか、確認してみてくださいね
これまでの働き方や、休職期間を振り返る
休職期間を利用して、うつ病になった原因を振り返っておきましょう。
うつ病になった当初は過去を振り返るのも辛いですが、復職を検討している今なら、少し冷静に原因を分析できるでしょう。
「業務量が多かった」
「人間関係に悩んでいた」
など、原因が分かれば復職の際に考慮してもらえることもあります。
また、これまでの振り返りをすることで、復職後に気をつける指標ができますよ。
考えを文字に書き出すことで、思考が整理されると言われています。復職に向けた漫然とした不安があるときには、ぜひ試してみてください。周りの人に相談する時にも自分の悩みを相談しやすくなりますよ。
復職後に気をつける3つのポイント
ここからは、復職後に気をつけるべき3つのポイントを説明します。
復職はゴールではありません。復職してから、また新たな生活が始まります。
少しでも負担を減らし安心して働けるよう、ぜひチェックしてくださいね。
体調管理に気をつける
一つめは、体調管理を怠らないことです。
「復職したら一安心」というわけではありません。
生活の変化が大きいことがうつ病の再発リスクとなるので、引き続き体調管理には気をつけてくださいね。
「1日3回食事を摂る」「決まった時間に寝る」といった規則正しい生活をしましょう。
また復帰したばかりの頃は気が張っていて、疲れに気づきにくいかもしれません。
休日には予定を入れずにゆっくり過ごすのも大切なセルフケアですよ。
「大丈夫」と思えても、疲れています。
ゆっくり休みましょう。
治療を継続する
二つめは、きちんと治療を継続することです。
復職後は仕事が忙しくなり「職場復帰できたから大丈夫」と、自己判断で服薬や通院をやめて治療を中断する人もいます。
「体調がいいから治療は必要ない」と思うかもしれません。それでも、うつ病は再発リスクが高い病気です。薬を飲んでいるから、症状が抑えられていることを忘れてはいけません。
復職後も定期的に通院できるよう、事前に主治医や職場と相談をしておいてくださいね。
勤務の関係で通院できないのであれば、夜間や休日に診療を行っている病院を探しておく方法もあります。
おおかみこころのクリニックは、夜間も診療をおこなっていますので、気になる方はぜひLINE登録をしてくださいね。
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焦らずに仕事をする
三つめは、焦らずに仕事をすることです。
「休んだ分を取り返したい」「これ以上、迷惑をかけたくない」と感じるかもしれません。しかし焦らず無理のない範囲の仕事から、徐々にステップアップしていきましょう。
完璧を目指さずに、できることからやるのが大切です。
職場で指定された復職プログラムがある場合は、そちらに従ってくださいね。
早く元の仕事に戻れることも大切ですが、一番大切なのは継続して働けることです。
無理をして短期間で燃え尽きることのないよう、長期的な視点も持って焦らず仕事をしてくださいね。
まとめ
うつ病を発症し休職した状態から復職するのは、誰でも怖さを感じます。自分が仕事ができるかどうか以上に、周りの反応が怖い、という場合もあるでしょう。
でも、焦りは禁物です。
復職は最終的には、自分の意志で決定することです。
この記事で紹介したことを踏まえて「自分はどうしたいのか」を考えてみてくださいね。
そして復職を決断したのであれば、まずは継続して出勤できる状態を目指し、徐々にできる範囲を増やしていきましょう。
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【参考文献】
1)リワークプログラムとは | 日本うつ病リワーク協会
2)心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf
3)職場復帰に際しての支援|こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/attentive/atv007/
- この記事の執筆者
- なのか
医療・健康ライター。保健師として11年勤務。安心感を届けられるような記事を執筆します。