「ゆっくり休んでといわれたけど、ゆっくり過ごすってどういうこと?」
「自宅でどうやって過ごせばいい?」と思ったことはありませんか。
回復過程に合わせた過ごし方を知ることは、うつ病の回復に欠かせません。
この記事を読むと、うつ病を乗り越えるためのヒントが見つかるかもしれませんよ。
うつ病には適切な治療が大切です。下記の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
この記事の内容
うつ病の過ごし方は休養が大前提
「休養ってどうするの?」「寝てればいいの?」「ゆっくりするって言われても……」と困惑する人もいるのではないでしょうか。
うつ病でよく聞く「休息」や「休養」は、考えすぎてしまう頭を休ませることを指します。
ここでは、うつ病の休養について詳しく解説しますね。
うつ病は自宅でゆっくり休養するのが難しい
うつ病で休職する際は「ゆっくり休むように」と言われることが一般的。しかし、うつ病をもつ人にとってゆっくりと休養をとること自体が、一番の課題です。
うつ病と診断されて休職したとしても、不安が次々と押し寄せるからです。
「病気を早く治さなければならない」という焦りや、周囲に対する罪悪感が次々と湧いてくるので、頭は全く休めません。
「仕事を休んで周りに迷惑がかかる」
「自分が病気になったから家族がお金で困ってしまう」
「このつらい状況から抜け出せなかったらどうしよう……」
仕事、お金、家族、病気、将来への心配など、心配事が次々と付きまとうのです。
うつ病の人がゆっくりと休養するにはどうすればいいのか
うつ病の人がゆっくりと休息をとるには、ネガティブな考えをやめることです。
そのためにはまず内服治療は欠かせません。
うつ病になると、物事をどんどんネガティブに考えてしまったり、複雑に考えたりしてしまいます。
頭の中のネガティブな感情に意識を向けず、目の前のことにだけ意識を向けることも大切です。
ネガティブな感情にとらわれてしまわないために、何かに集中して気を逸らせたり、興味のあることだけをやってみたりするのもよいでしょう。
集中してなにかに取り組むと、気分転換にもなりますね♪
ある意味、寝逃げも一つの手段。
自分の意思で考えることを止められないため、寝ることで強制的に考えることから離れるという方法です。
しかし、家庭環境によってはゆっくり休めない・眠れないという人もいるかもしれません。
そのようなときには医師に相談し、あなたに必要な治療や、療養環境についてのアドバイスをもらうのもよいでしょう。
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うつ病の急性期はとにかく自宅でゆっくりして過ごす
うつ病の急性期は、無理して何かしようとしなくてもよい時期です。
ここではうつ病の急性期と過ごし方について解説します。
うつ病の急性期の特徴
うつ病の急性期は、気分の落ち込みや症状が一番現れる時期で、うつ病を発症してから回復期にさしかかるまでの時期をいいます。
うつ病の治療を開始してからだいたい1〜3ヶ月が急性期だといわれていますが、人によって急性期の長さは異なります。
この時期は気分の落ち込みがひどく、不安感や焦り、罪悪感などで押しつぶされそうになるなどの症状が出るため早急な治療が必要です。
食事が取れなかったり、自宅での治療が難しい場合は入院を勧められることもあります。
うつ病の急性期の過ごし方
急性期の過ごし方は、自分の気分に従ってとにかく自宅でゆっくりと過ごすことです。
無理して何かしたり、気分転換したりする必要はありません。
「今までできていたことができなくなる」のがうつ病の急性期です。
泣きたければ泣き、食べたいときに食べ、寝たいときに寝て、自分の欲求だけを満たしてあげてください。
身体や心がつらくて、着替えたり入浴したりできなくなるかもしれませんが、それは今だけです。
時間が経てば回復します。
つらいのはあなたのせいではなく病気だから。
動けない自分を責めないでくださいね。
うつ病の回復期は生活リズムを意識して過ごそう
うつ病の回復期は、回復に向けての一進一退をくり返しながら、生活リズムを整える時期です。
ここではうつ病の回復期と過ごし方について解説します。
うつ病の回復期の特徴
うつ病の回復期は、一般的にはうつ病を発症してから4〜6ヶ月が回復期と言われています。
急性期は暗いトンネルの中にいるような暗い気分だったのに対して「なんだかちょっと気分がいいな」「今日はご飯がおいしいな」と感じるのが回復期です。
急性期に比べて、「今日は○○してみようかな」と意欲が少しずつ湧いてきます。
しかし、回復期は調子がよくなったり悪くなったりをくり返すので、「なんで良くならないのだろう」と焦ったり落ち込みやすくなります。
ここで、無理をしたり薬をやめたりすると急性期に逆戻りしてしまうこともあるので注意が必要です。
「頑張れそう!」と思っても立ち止まることも大切です。
うつ病の回復期の過ごし方
うつ病の回復期に入ったら、徐々に生活リズムを整えていきましょう。
具体的には、朝起きる時間や食事を取る時間、薬を飲む時間、寝る時間などを一定にして過ごすと生活リズムが整いやすくなります。生活の記録を付けるのもおすすめです。
「朝〇時に起きた。昨日よりスッと起きられた。」
「食事は〇〇だった。おいしかった。」
と簡単な感想も付けると気分の振り返りができます。
朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴びたり、気分がよければ少し散歩をしたりするのもおすすめです。洗濯物を畳むなどの簡単な家事をやってみたり、好きな音楽を聞いたり、趣味を楽しんだりして過ごしましょう。
しかし、調子が良いからといって無理をするのは逆効果。
焦って仕事復帰への準備をしたり、なにかしら頑張りすぎたりしないようにしましょう。
回復期は、良い気分のときもあればしんどくて何もできなくなることもあります。
そんなときには無理して何かしようとせず、横になってしまいましょう。
生活リズムは、また少しづつ整えていけばいいのです。
自分の「しんどい」という声に耳を傾け、自分自身を労わってあげてくださいね。
うつ病の再発予防期は復職を焦らずに調子を見ながら過ごす
うつ病の再発予防期は、社会復帰にむけて準備をしたり行動範囲を広げたりする時期です。
ここではうつ病の再発予防期と過ごし方について解説します。
うつ病の再発予防期の特徴
うつ病の再発予防期は、うつ病の治療を始めてから約1年〜2年頃というのがおおまかな目安です。
人によって回復過程は異なるので、必ずしも1年たったら再発予防期というわけではありません。
再発予防期に入ると気分のムラが落ち着いてくるため、仕事復帰をする人もいるでしょう。
人によっては「うつが治った!」と思う人もいるかもしれません。
症状がないからといって、薬を自己判断でやめてしまうのが多いのもこの時期。
再発予防期は時間をかけて、ゆっくりとうつ病の再発を予防する時期なのです。
うつ病再発予防期の過ごし方
再発予防期に一番大切なのは【薬をやめないこと】です。
調子がいいからといって、自己判断で薬をやめてしまうと体調を崩したり、うつ病が再発したりしてしまいます。
この時期は自宅だけではなく外出してみるなど、できることや行動範囲を少しずつ増やしていくのもよいでしょう。
無理はせず、少しずつです。
うつ病になる前の自分と、今の自分を比較してはいけません。
「できた」を少しずつ積み重ね、自信に繋げていくのも大切です。
また社会復帰に向けて、生活リズムを整えたり、ひげを剃ったり、伸び過ぎた髪を切ったりして身だしなみを整えることも大切です。
休職中で「いきなり復職するのは不安」という人は、リワークプログラムを活用してみましょう。
リワークプログラムとは、職場復帰にむけてのリハビリのことです。
休職前の働き方を振り返ったり、復職後も同じ状況にならないようにしたりすることが目的です。
自分らしい毎日を送るために、主治医と相談しながらゆっくりとあせらずに日々を過ごしていきましょう。
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職場復帰に不安を感じるならば、事前に復職までの流れを知っておくのもよいでしょう。
下記の記事で詳しく説明していますので、合わせてご覧ください。
自宅での過ごし方に注意するポイント3つ
ここではうつ病と言われた人が、自宅で過ごすときに気をつけたいポイントを3つ解説します。
順番に見ていきましょう。
回復を焦らない
うつ病が悪化するきっかけの一つは、焦りです。
仕事に早く復帰したい、家族に迷惑をかけたくない、早く病気を治したい……
回復への焦りが強いと自分自身を責めたり落ち込んだりして、さらにうつ病を悪化させてしまうのです。
一つずつ慎重にステップを踏まないと転んでしまうのは、うつ病も同じです。
焦らないのが回復への近道だと忘れないでくださいね。
食生活を見直すのも一つの手です。下記の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
病気のせいだと割り切る
うつ病になる性格の特徴としては、真面目で責任感の強い人が多い傾向にあります。
人のせいにせず、全て自分の責任だと考える人も多いでしょう。
「こんなに辛いのは、自分の心が弱いから……」と自分を追い詰めてはいけません。
「病気だからこんなにつらく感じてしまうのは仕方ない」と考え方をシフトしてみましょう。
うつ病になった自分を受け入れることはとても大事です。
自分を責めず「病気だから仕方ない」と割り切って考えると、気持ちが少し楽になりますよ。
薬を中断しない
うつ病の症状が軽快してくると、自己判断で薬をやめてしまう人がいます。
いままで副作用に悩まされ続けた人は、早く薬から解放されたいと思う人も多いのではないでしょうか。
抗うつ薬を含む、向精神薬の急な中断は離脱症状が出現します。
離脱症状とは、体の中から急に薬がなくなったときに起こる症状のことです。
離脱症状の現れ方は人によって違いますが、一段と調子が悪くなったと感じる人も多いでしょう。
以下は離脱症状の一例です。
- めまい
- 気持ち悪さ
- 頭痛
- 疲労感
- 不眠
- 無気力
- 筋肉痛
- 手の震え
今までのうつ症状に加えて、強い焦りや希死念慮(死にたくなること)を伴うこともあり、より酷くなったと感じる人もいます。
向精神薬は急にやめるものではなく、医師が症状をみながら慎重に減らしていくもの。
薬や治療について分からないことや気になることがあったらいつでもお気軽にご相談くださいね。
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まとめ
この記事では、うつ病といわれたときの自宅での過ごし方について解説しました。
うつ病は時期によって過ごし方が異なりますが、どの時期でも休むことは大切です。
うつ病でよく聞く「ゆっくり過ごす」とは、考えすぎて頭を休めることをいいます。
そのためには、意識して頭の中のネガティブな考え方を止め、その感情から気を逸らしたり、他のことに目を向けたりすることで考えないようにするのも一つの手段です。
調子が良いからといって、勝手に薬を中断しないように気を付けながらゆっくりと過ごしましょう。
おおかみこころのクリニックでは、一人一人のお悩みにじっくりと向き合えるように、相談しやすい環境づくりを心がけています。
毎日22時まで、土日も休みなく開院しております。お電話が苦手な方はLINEでの予約受付にも対応していますので、どうぞお気軽にご相談くださいね。
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(参考サイト)
うつ病の予後と治療|こころの耳|厚生労働省
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad003/
リワークプログラムとは|一般社団法人 日本うつ病リワーク協会
(参考書籍)
うつ病のことが正しくわかる本|野村総一郎監修
- この記事の執筆者
- 小久保有希
医療ライター。看護師経験15年。4年間精神科に勤務し、病棟・訪問看護に携わる。相手の気持ちに寄り添う記事が得意。