前回のコラムでは、傷病手当金の全体像について概説を行いました。 今回は、傷病手当金を実際に申請するにあたって具体的な方法や注意事項について説明を行いたいと思います。
傷病手当金申請書について
申請を行うにあたって、傷病手当金申請書の記載が必要となります。申請書は受給を希望する患者様本人が準備する必要があります。申請書の書式は加入している保険組合によって異なります。
申請書の入手方法も会社によって異なり、下記のような手段で入手できるケースが多いです。具体的な入手方法については、各会社の担当窓口にお問い合わせ下さい。
- 会社から直接or郵送で受け取る
- 公的医療保険の窓口へ問い合わせ取り寄せる
- 会社のHPなどからダウンロードする
申請書の記載内容について
上記の方法で申請書を取得し、必要事項を記載します。
記載事項は大きく分けて①被保険者記入欄(患者様本人が記載する)、②事業主記入欄(会社側が記載する)、③療養担当者記入欄(主治医が記載する)ものの3つに分かれています。
上記①の被保険者記入欄以外は患者様本人では記載できないため、会社及び主治医に必要事故の記載を依頼し完成したものを提出します。提出方法は郵送や会社に直接提出する等、会社毎に異なるため担当者に問い合わせていただく必要があります。
傷病手当金申請時の注意事項
本項目では傷病手当金申請に際して、注意するポイントを2つ紹介いたします。
①書類作成のタイミングについて
傷病手当金申請書は基本的に毎月記載を行います。休職時には休職用診断書と同時にお渡しすることが多いです。ただし、傷病手当金申請書の作成は申請希望期間が終わった後にのみ行うことができます。具体的には2023年1月1日~31日の期間で傷病手当金申請書を作成するばあいは、書類作成は2023年2月1日からのみ行うことができます。
②支給の可否について
支給の可否についての判断は申請書類の内容を確認し、保険者が行います。ただし、申請期間内の受診回数が少ない場合、あるいは月に1度も受診していない場合は診断根拠不足と判断され、支給が認められないケースがございます。
病状悪化を防ぐため、傷病手当金の受給をスムーズに行うためにも休職期間中は1~2週間に1回の通院治療をお勧めしております。
傷病手当金が認められない場合
傷病手当金は条件を満たしていても受け取れないケースがあります。前述したとおり、保険者が判断した結果として支給が認められない場合、その他の支給や給付(下記①~④)を受けている場合は傷病手当金が認められないことがあります。
- 傷病手当金と出産手当金が受けられるとき
- 資格喪失後に老齢(退職)年金が受けられるとき
- 障害厚生年金または障害手当金が受けられるとき
- 労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合
しかしながら、傷病手当金以外の支給や給付がある場合も、支給額によっては差額が給付されることがあります。詳細については患者様が加入されている保険組合にご確認ください。
まとめ
前回に続き、コラム形式で傷病手当金についての説明をさせていただきました。
傷病手当金は、休職中の金銭的不安を解消するための非常に重要な制度です。こういった制度を活用し、休職中の患者様が安心して療養に専念できる体制を整えていくお手伝いをさせていただきます。疑問点などありましたら、当院スタッフまで遠慮なくお問い合わせください。患者様の症状改善の一助となれば幸いです。